【ゲーム関連株日記】マーベラス(7844)牧場物語の新作……【その18】

 マーベラス(7844)の株を買ったとたんに株価が急落し、「2月25日発売の『牧場物語オリーブタウンと希望の大地』の売上に希望を託すしかない」と書いたのが前回だった。

【ゲーム関連株日記】割安? 割高? ROE、PER、PBRについて【その17】

 その牧場物語がどうも評判が良くないらしい。それもあってか、株価はさらに下がっている。

評判が良くないらしい

「評判が良くない」どころか、一部では炎上もしている。「ロード時間が長い」「バグが多い」「進行不可能になる」「これまでのシリーズにずっとあったイベントがない」「会話が薄い」などなど。

 Amazonのレビューも批判的なものが多く、投稿制限されることとなってしまった。2021年3月4日現在「カスタマーレビューを書く」ボタンを押しても、「申し訳ありませんが、この商品のレビューを受け付けることができません。 通常ではない投稿状況が確認された等いくつかの理由により、この商品のレビュー投稿は制限されています。」と出て、レビューが投稿できない。(【店舗限定特典つき】の方は、投稿出来るようだ。)

 牧場物語は牧場でのスローライフを楽しむものであり、ゲームというよりも、ライフであるべきなのに、否が応でもゲームを意識させるようなイベントが色々とあるらしい。それはテキストの問題だったり、システムの問題だったりするそうだ。

 中でも私が個人的に興味を引かれたのは、婚姻関係を解消するためのシステムだ。

婚姻関係解消システム

 婚姻関係を解消したい際、あるイベントで「家族との関係をなかったことにする」を選ぶと婚姻関係を解消できるそうだ。その選択肢を選ぶと「家族との関係はリセットされ、告白前の状態に戻ります。」とメッセージが出て、結婚していたという事実を失くしてしまえる。好感度は高いままなので再度結婚することも出来る。加えて、もし子供がいた場合、結婚していたという事実がなくなってしまうため、子供が生まれた事実もなくなり、最初からいなかったことになってしまう。

 怖いよ。「その人が存在していた事実自体がなくなってしまう」というのは、時間旅行物の中で一番怖いやつだよ。子孫が残機位の意味合いしかないようなアクションゲームならともかく、スローライフを楽しむゲームでやっちゃだめだよ。恋愛要素があって、好感度をあげて、告白してようやく結婚するという過程を楽しむものなのに、結婚した後、それをなかったことにしてしまうシステムがあったら、キャラクターに感情移入して楽しんでいるものからしたら興ざめだろう。

 過去作とは違って、今作は追加コンテンツでキャラクターが増え、そのキャラクターとも結婚できるようになっている都合上、結婚をやり直すシステムがないと、結婚した後で追加コンテンツの内容を知った人から不満が出るだろう。だから、なにかしらの婚姻関係を解消システムが必要だというのは分かる。だからといって、離婚イベントだと生々しすぎるし、その後のキャラとの関係も難しくなるだろう。そのため、シンプルな婚姻関係を解消するシステムが作りたかったのだろうが……。

 だからといって結婚したという事実を消して、子供まで生まれていないことにするのは、プレイする層にあまりに合っていないシステムだ。

多分、売れてはいるだろう

 牧場物語25周年の記念作品でもあるし、初動自体はいいと思われるので、これ以上株価を大きく下げるという事はないと思うが、牧場物語は本来ジワ売れが期待できるタイトルだけに、評判が悪くてジワ売れしにくいとなると痛い。

 唯一の希望は、プロデューサーが改善をすると約束してくれていることだ。

参考 『牧場物語 オリーブタウンと希望の大地』プロデューサーレター『牧場物語 オリーブタウンと希望の大地』

 内容を簡単に書くとこんな感じのようだ。

3月中旬頃目標の更新データ
  • 一部ロード時間の短縮
  • インターネット通信をONにしていると進行不能になることがある不具合の修正
  • 特定条件を満たし、ペットを起こした後、家を出ると進行不能になる不具合の修正
  • 特定条件を満たし、鉱山内で釣り竿を装備していると、進行不能になる不具合の修正
  • その他、不具合の修正

 さらに配信時期は不明ながらも、具体的な改修案の目途がたっている内容が以下のものになる。

配信時期は不明
  • 一部会話テキストの修正および追加
  • メーカー類の仕様改善
  • 没入感を削ぐ演出の適宜改修
  • ゲームバランスの調整
  • 各種不具合の継続的な修正

IPを大事にして欲しい

 今年は牧場物語以外にも、5月20日にルーンファクトリー5、8月27日にノーモア★ヒーローズ3とマーベラスの代表となるようなIPを、今売れに売れているSwitchで出す予定をしているし、牧場物語の不評な点も早急に対策を立ててくれているようなので信用しているが、これまでのマーベラスにはあまり良いイメージを持っていなかった。

 任天堂系ハードで出したソフトなのに、人気が出てくるとPS系ハードに出して、しかも移植した甲斐がないような売上しかない出せないという事が続いた時期があったからだ。

 ソフトの開発費は高騰の一過を辿っており、一つのプラットフォームだけでは開発費が回収しにくいという事情もあるだろう。ゲームとしては面白いのに、あまり売れないというのはもったいないというのもわかる。だから、マルチプラットフォームにすること自体は問題ないと思っている。

 しかし、無駄に移植してIPのブランドイメージを下げるくらいなら、何もしない方がいいと思う。

 IPを大事にしないゲーム企業は信用できない。前回、「今はイマジニアをイチ押ししている」と書いたが、「フィットボクシングが売れた」ということよりも、「フィットボクシング2で、1よりも完成度を上げてきた」ということの方を評価している。私が株を買った時点ではまだフィットボクシング2が売れるかどうかはわからなかったし、売れないなら売れないで仕方がないと思って株を買った。例え2が売れなくても、IPを大事にしているという評価は覆らないからだ。

マーベラスに対する信用をなくしたリメイク

 実は「マーベラスはIPのブランドイメージを高めるのが下手だ」と決定的に思ったソフトが一つあって、それが原因でしばらくマーベラスは信用できずにいた。

 そのソフトとは王様物語のリメイクだ。

王様物語

 王様物語はもともとWiiで2009年9月3日に発売されたソフトだ。それがリメイクされ、PSVITA版が2012年3月29日に発売された。Wii版は、タウンファクトリー、CING、マーべラスが中心なって開発し、マーベラス販売だったのに対し、PSVITA版はコナミエンターテインメント開発、販売となった。

 このPS VITA版が「任天堂ハードで人気のゲームをPSでリメイクした時にありがちなこと」で、大喜利をして内容を決めたのかと思うような作品だった。

王様物語 Wii版とPS VITA版の違い

タイトルが変わった

 まず、タイトルがシンプルな「王様物語」から、「王と魔王と7人の姫君たち 〜 新・王様物語 〜」にかわった。

 確かに王も魔王も7人の姫君たちも出てきたけども、そっちがメインで王様物語がサブタイトル風なんだ……。

絵柄が変わった

 絵柄が大きく変わった。絵本風のやわらかい絵柄だったのが、萌え系のシュッとした絵柄になった。

 やわらかい絵柄でありながらクセの強いキャラクターたちによる毒のあるストーリーが展開される所も、このゲームの良さだったと思うのだが……。


Wii版

PS VITA版

ボイスが付いた

 そして、「7人の姫君たち」だけストーリーに関するセリフがフルボイスになった。

『moon』や『チュウリップ』などと同じプロデューサーで、元々のセリフにはハナモゲラ語ボイス(何か高い声で喋っている風だけど何を言っているかわからないやつ)が付いていた。それがフルボイスになったのだ。

 PS VITA版が先に発売されていれば、別にそれはそういうソフトで全くかまわないのだが、ただあまりにWii版の開発者の思想とかけ離れているように見えて……。

Wii版開発者のインタビュー

 Wii版王様物語のディレクター木村祥朗の思想が垣間見えるインタビューがINSIDEにあったのでリンクをはっておく。

参考 苦難の末に完成した自信作『王様物語』木村ディレクターインタビューインサイド

参考 「昔ながらのゲームが大好きな人へ」・・・『王様物語』木村プロデューサーインタビューインサイド

 『moon』がSwitchに移植されることが決まった時のインタビューにも木村祥朗の「ゲーム作りに対する思想」が詰まっているのでリンクをはっておく。

参考 祝『moon』スイッチ版配信決定記念! 木村祥朗氏×倉島一幸氏ロングインタビュー。ファミ通.com

ネタにはしたけど

 面白可笑しいように書いてしまったが、実際のところはWii版発売後に開発元の一つである株式会社シングが倒産しており、販売元がコナミエンターテインメントとなって、”オリジナルチームは解散状態”、なおかつ”『王様物語』はWiiのために最適化させたカスタムエンジンを使用しており、移植やアップデートなどがまったく考慮されていない仕様”(引用元:PC版『DARK SOULS』の最適化で知られるModder「Durante」、今度は“企業”に招かれPC版『王様物語』を改良)ということらしいので、別に大喜利をして決めたわけではなく、一から作り直した方が早かったからこうなったのかもしれないと、同情も感じる。

 とはいえ「もう少しうまいやり方があったんじゃ……」と、思ってしまう。

最後に

 Wii版王様物語の売れ行きは、メーカーの期待するほどのものではなかったのかもしれないが、それなりにファンはついていた。しかし、PS VITA版王様物語は雰囲気が変わっただけでなく、処理落ちや操作面にも難があり、芳しくない評判のせいで、Wii版のファンも離れたように思う。

 牧場物語では「期待を裏切られた」とファンに思われないように上手く立ち回って欲しいと思う。

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