正式名称は?
芥川賞は「芥川龍之介賞(あくたがわりゅうのすけしょう)」、直木賞は「直木三十五賞(なおきさんじゅうごしょう)」を略したものです。
芥川龍之介は教科書にも出てくるなじみ深い作家ですが、直木三十五はこの直木賞以外で語られることはあまりありません。
直木三十五って誰?
芥川龍之介と同じ時期に活躍した作家です。変わった名前ですが、もちろんペンネーム。
姓「直木」は本名の植村宗一の「植」を「木」と「直」に分解し、並び変えたもので、名「三十五」は31歳の時に直木三十一という名前を使い、その後誕生日ごとに三十二、三十三と増やしていって三十五で落ち着いたもの、ということのようです。三十五で落ち着いた理由については諸説あるようですが、少なくとも三十六の誕生日を迎える前に亡くなったというわけではなさそうです。
芥川龍之介:https://www.aozora.gr.jp/index_pages/person879.html
直木三十五:https://www.aozora.gr.jp/index_pages/person216.html
主催は?
公益財団法人日本文芸復興会が主催しています。芥川賞と言えば、受賞作品が文藝春秋に掲載されるので、株式会社文芸春秋が主催しているイメージですが、その辺のことはあとで記します。
日本文芸復興会って?
1938年に財団法人として設立されました。財団法人ですので、活動の目的は利益の追求ではありません。名前の通り「文芸の向上顕揚を計ること」を目的とした団体です。2010年に公益財団法人となりました。
誰が作ったの?
芥川賞、直木賞ともに同じ人によって、同じ時に設立されました。芥川龍之介、直木三十五と生前交流のあった菊池寛によって昭和十年に設立されたそうです。
芥川が昭和2年没、直木が昭和9年没ですので、10年以内に続けて鬼籍に入ったことを悼んで賞を作ったのでしょうか。
菊池寛って誰?
作家だということくらいはなんとなく知っていても、代表作が何かと問われるとパッと出てこないですが…… 『父帰る』や 『真珠夫人』あたりでしょうか。
1923年に文芸春秋社を立ち上げた実業家でもあるそうです。
https://www.aozora.gr.jp/index_pages/person83.html
いつ発表?
1月(前年12月候補発表)と7月(6月に候補発表)の年二回発表されます。
どんな作品が対象になるの?
両賞とも、1月発表分は前年6月~11月の下半期に発表された作品 、7月発表分は同年1月~6月に発表された作品が対象になります。
芥川賞は「雑誌(同人雑誌を含む)に発表された純文学の短編or中編」、直木賞は「単行本で発表されたエンターテインメントの長編or短編集」が対象になります。
デビュー何年目位で受賞?
芥川賞
ここ十年ほどを見てみると、25人の受賞者のうち、デビュー作でそのまま受賞が4人、デビュー作ではないもののデビュー後15年以内の受賞が20人でした。それを超えての受賞も1人いらっしゃいましたが、これはデビュー後49年間発表せずに執筆活動を行っていたからで、デビュー後受賞までの年数はありますが、公表された作品としては二作目での受賞です。
ここ十年はデビューして15年以内の作家が受賞しているようです。
直木賞
同じくここ十年ほどで見てみると、26人の受賞者のうち、デビュー後15年以内の受賞が15人、15年を超えての受賞が11人で、最長はデビュー後34年してからの受賞でした。
芥川賞とは違い、そこそこベテランも受賞されているようですね。
賞金とかあるの?
正賞は「懐中時計」、副賞は「100万円」。正賞の懐中時計は、時代によって腕時計になったこともあるようですが、すぐに懐中時計に戻りました。実用性を求めているわけでもないですし、懐中時計の方が雰囲気があっていいですね。
第一回の副賞は500円で、物価の上昇とともに副賞の金額も上がっていき、1949年に5万円、1954年に10万円、1967年に20万円、1971年に30万円、1978年に50万円で、1988年になって今の100万円になっています。
設立当時(1935年)の平均年収が712円だそうです。手取りがどれくらいになるかわかりませんが、500円あれば贅沢さえしなければ、一年間仕事をせずとも一般的な暮らしはできそうです。お金のことは考えずに著作に専念しなさいということでしょう。
まとめ
芥川龍之介賞 | 直木三十五賞 | |
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設立者 | 昭和10年(1935年)に菊池寛が設立 | |
主催 | 公益財団法人日本文学振興会 | |
賞品 | 正賞:懐中時計・副賞:100万円 | |
発表月 | 上半期:7月(6月候補発表) 下半期:1月(12月候補発表)の年二回 |
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対象期間 | 上半期:前年12月~5月発表作品 下半期:6月~11月発表作品 |
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発表媒体 | 雑誌(同人雑誌を含む) | 単行本 |
ジャンル | 純文学(中編or短編) | 大衆小説(長編or短編集) |
対象作家 | 新進作家 | 新進・中堅作家 |