【電子書籍】みんなはどう思ってるの? 電子書籍のメリット、デメリット。

 ここ数年、小説にしろ漫画にしろ本を買うときは電子書籍でばかり買っています。色々な面で便利だから、電子書籍を利用するわけですが、不便なところ、改善して欲しい所も色々とあります。それは電子書籍を読むためのアプリの問題だったり、電子書籍市場の問題だったり、電子書籍化することを嫌う人がいるために起こる問題だったりしますが、大抵はもっと多くの人が電子書籍を使ってくれるようになれば、なくなっていくであろう物事です。

 そこで、電子書籍をもっと多くの人が使ってもらえるように……これまで電子書籍を敬遠してきた人でも、「少し試してみてもいいかな」と思ってもらえるように、電子書籍のメリット、デメリットをまとめてみたいと思います。

 電子書籍を使わない人には使わないなりの理由があるはずです。同様に使っている人間は、使うなりの理由があります。使わない理由をつぶせて、使う理由がわかってもらえたらいいなと思っています。

電子書籍の市場規模

「電子書籍なんて、一部の人が使っているだけで、多くの人は紙の書籍で読んでいる」。そんな風にお思いの方もいらっしゃるかと思いますで、実際の所、電子書籍は書籍の売上の中でどれくらいの割合を占めているのかを説明したいと思います。

電子書籍と紙書籍それぞれどれくらい売れてるの?

「出版市場内での規模は、紙と電子とでどれくらい違うのか?」
 公益社団法人 全国出版協会・出版科学研究所が発表した客観的なデータがあったので、見てみたいと思います。全て2019年のデータです。

 詳細は『出版月報』2020年1月号(1月24日発行、頒価2,200円)に載っているそうです。

参考 2019年出版市場(紙+電子)を発表しました公益社団法人 全国出版協会・出版科学研究所

出版月報 2020年1月号
試し読み BookLive! へ移動します。

出版市場全体としてはどうなのか

 まずは出版業界全体から見ていきたいと思います。

 前年比推定販売金額(円)
紙市場4.3%減1兆2,360億
電子市場23.9%増3,072億
紙+電子0.2%増1兆5,432億

 私は「あれ? 出版不況と言われて久しいのに、全体としては0.2%増えてるんだ?」と、意外に思いましたがみなさんはどうでしょうか? 

 ただ、毎年ずっと増え続けているわけではなく、2015年 1兆6,722億円 → 2016年 1兆6,618億円 → 2017年 1兆5,916億円 → 2018年 1兆5,400億円と来て、2019年 1兆5,432億円と微増ですので、全体としては減少傾向であることは確かなようです。

 そして「紙市場は減少。電子出版市場は増加。ただし、紙市場の方が規模としては、数倍大きい」というのは、ここ数年続く傾向のようです。電子書籍が増えてきているとはいえ、金額ベースで考えると、まだ全体の2割にしか満たないのです。

紙市場と電子市場の推定販売金額比較

紙市場電子市場
書籍6,723億(前年比3.8%減)349億(前年比8.7%増)
漫画・雑誌5,637億(前年比4.9%減)2,723億(前年比26.1%増)
全体1兆2,360億(前年比4.3%減)3,072億(前年比23.9%増)

「雑誌読み放題みたいなサブスクリプションはどう計算してるの?」と思ったのですが、ちゃんと注意書きがありました。
「電子出版市場規模は、読者が支払った金額を推計したもの。広告収入は含まない。雑誌には定額制読み放題サービスを含む。」とのことです。

 市場規模は、紙書籍が減少傾向、電子書籍は増加傾向です。とはいえ、まだまだ差はあるようです。
 漫画・雑誌は紙版の半分程度となかなかの健闘を見せていますが、書籍は紙版の20分の1程度にしかすぎません。ただ、増加傾向を認めているのは確かであり、このまま少しずつでも使う人が増えていけば、どこかでなだれ込むように一気に増えるポイントが来ると思います。

電子書籍のメリット・デメリット

 それでは、実際に電子書籍を使っていて感じたメリットやデメリットをまとめたいと思います。デメリットをずらっと紹介して、その後、メリットを紹介します。

 デメリットに関しては、そのデメリットを少しでも軽減するために、私がとっている対策も一緒に書いていきます。

デメリット(+その対策)

どの電子書店を使えばいいかわからない。

 最初だけの問題ですが、何事もその最初の一歩を踏み出すのが大変なものです。やってみれば、なんてないことでも、興味を持って、調べて、実行に移す、このプロセスが面倒で、後回しにしているようなことはたくさんあると思います。

 まず、どの電子書店を使えばいいのかを決めることが最初の難関だと思います。なんせ、電子書店は乱立しています。しかも、あるところで買った電子書籍は、また別のあるところが出しているソフト、アプリでは読むことが出来ないのです。慎重にならざるを得ません。悩んでいるうちに面倒になって、買うのを諦めてしまうというのはよくあることです。

 どれくらい電子書店があるのか、いくつか挙げてみます。四角で囲っておくので、読み飛ばしてください。多いことだけわかってもらえればいいです。

電子書店

 ネット通販も手掛ける大手の電子書店だと、Amazon.comのKindle、楽天のKobo、Yahoo! のebookjapanなどがあります。
 印刷会社が経営している電子書店もあります。凸版印刷のBookLive! 、大日本印刷のhontoがそれにあたります。
 出版社が経営する電子書店なら、KADOKAWAのBOOK☆WALKERです。
 紙の書籍を売っている書店が電子書籍を販売するパターンもあって、紀伊國屋書店のKinoppyです。
 通信会社も通信を使わせたいのか電子書籍を販売しています。KDDIのブックパス、NTTドコモのdブック、NTTぷららのひかりTVブックスです。あれ? KDDI、Docomoときて、Softbankは? と一瞬思いますが、Yahoo!のebookjapanがあります。
 電機メーカーがブックリーダーを売るために電子書籍を売るパターンもあって、SonyのReaderStore、シャープのCOCORO BOOKSがあります。
 スマホOSの開発元であるGoogleとAppleも自前の電子書店があって、それぞれ、Google Books、Apple Booksと名付けられています。
 他にも、ガラケーやPDAの時代から電子書籍販売を頑張ってきた株式会社パピルスのRenta!、アダルトビデオの販売、動画配信で急成長を遂げたDMM.COMのDMM電子書籍なんてものもあります。

私の対策

 それぞれ特徴があって、自分が何をよく読むのかを考えて利用するのが良いだろう。洋書をよく読むなら、Amazon Kindle、楽天Kobo。ライトノベルをよく読むならKADOKAWAのBOOK☆WALKER。アダルトな内容のものだけ普段使う所とは別の電子書店でこっそり買いたいならDMM.com。と、いった具合だ。

 ちなみに私はBookLive!を使っている。「サイトが見やすいから」「割引が多いから」「アプリが使いやすいから」という理由で、BookLive! を使い始めた。私が電子書店を使い始めた数年前は確かにそうだったが、今はどこもサービスが充実してきているので、どこがどうなのかわからない。ただ、今から使い始めるとしても、特にマイナス点のないBookLive! を使うと思う。

電子化されていない書籍がある。

 最近の書籍は大抵電子化されています。特に話題の作家の新刊や、映像化が決まっている作品などは、紙の書籍の発売日の0時から電子書籍でも読むことが出来ます。しかし、諸事情により電子化されていない書籍もあります。

 電子化されない理由は、作者が作品の電子化に反対していたり、出版社の販売戦略の都合であったりと、色々あるようです。古い本の中には、権利者が誰かわからず、電子書籍化の許可がとれない、なんて理由のものもあるんじゃないかと思います。

私の対策

 これはもうどうしようもない。電子化されるまで待つ、紙の書籍を買う、図書館で借りる、古本屋を利用する等々、いずれにしても一旦は諦めるしかない。

 

 ただ、アマゾンや楽天ブックスの様に、同じサイト内で紙の書籍と電子書籍を併売しているようなところなら、紙の書籍の販売ページに「電子化希望」ボタン的なものがあるし、電子書籍専売のサイトであれば、リクエストページがあるので、それらを利用するという方法もある。いつになるかわからないし、そもそも電子化してもらえるのかどうかすらもあやしいが、幾分か慰められるだろう。

 

「発売されたばかりで、まだ古本屋には並んでいないし、図書館はいつ見ても貸し出し中ばかりで順番が回ってこない。だけど早く読みたい!」というような場合なら、とりあえずリクエストだけして、紙の書籍を買って読み、電子化されたら買いなおして紙の書籍は古本屋に売るという手もあるだろう。

買った書籍を売ることが出来ない。

 元々、本を売る習慣がない人には関係ない話ですが、電子書籍は古本になったからといって、売ることは出来ません。建前上「電子書籍を買う」といった表現はしているものの、実際にもののやり取りはなく、「好きなときに好きなだけ読む権利を購入している」というものなので、仕方がないことだろうと思います。

 また、電子データは劣化しないため、古本と新品とで価値に違いがないという点も大きいと思います。古本と新刊とで全く違いがないので、古本販売を許すと正規の新品の売り上げは激減してしまうことでしょう。
「そうなると、新たな作品を作る資金もなくなってしまい、文化が消滅するから中古販売は良くないんだよ」という説明のされ方もします。

私の対策

 元々、古本屋に本を売ること自体がほとんどないので、私自身は関係ないが「買って、読んで、すぐに売る」という方法で、買値と売値の差額だけのお金で、好きな本を読むというレンタル感覚で古本屋を使う人がいる。そういう人には、電子書籍を薦めにくい。ただ、デジタル古本屋も検討はされているようだ。

参考 Amazon、デジタル古物を販売するストア向け特許を取得 – ITmedia eBook USERITmedia eBook USER

 だが、実際の所実現は難しそう。

 今の古本屋のシステムだと、古本がいくら売り買いされても、出版社(ひいては作者)の利益にはならないため、電子書籍版古本の売り買いで、出版社にも利益が入るようなシステムを作れるなら、多少は可能性が出てくるかもしれない。

知り合いと貸し借りをすることが出来ない。

 古本が売り買い出来ないのと同様に、本の貸し借りをすることも出来ません。家に誰かを招いたときに、本棚を見てもらって「気になる本はある?」みたいなこともできないのです。「おすすめを貸して読んでもらうことが出来ないのはつまらない」と思う人もいることでしょう。

「トラブルのもとになるので物の貸し借りはしたくない」と思っている人にとっては、口実になるので貸し借りが出来ないことは、むしろメリットと言えるかもしれません。

私の対策

 私は本の貸し借りをするような親密な関係の知り合いがいないので全く問題はないが、ここでは本の貸し借りがしたい人の気持ちになって考えてみたいと思う。

 

 おすすめの本を読んでもらいたい時、全く方法がないわけではないと思う。「アカウントを貸す」「古いタブレットを誰かに貸す専用のタブレットにする」などが考えられる。

 

 アカウントの貸し借りは、規約違反になる可能性があるので大っぴらにはできない。ただ、何台かのスマホ、タブレットで同時に見ることを許されていることは多いので、家族内であれば、家用のタブレットに自分のアカウントでログインしておき、自由に読めるような状態にしておくことくらいなら出来るかと思う。

 

 勝手に本を購入されたり、内緒で買った本まで見られたりとトラブルになりかねないので、生計を同一にする家族内で留めるようにした方がよいだろう。

電子書籍の販売元がサービスをやめれば読めなくなる可能性がある。

 電子書籍を使わない人の中に、「先行きの不透明さ」を理由に挙げる人がいます。「買ったはいいけど、買った電子書店がつぶれて、将来、読めなくなったら、無駄になるから……」というような理由です。

 確かに電子書籍は「好きなときに好きなだけ読む権利を購入している」だけであって、現物が手元にあるわけではありません。電子書籍の販売元がサービスをやめてしまったら、買ったはずの電子書籍が読めなくなってしまうのです。

 実際に潰れてしまった電子書籍サービスも既にあります。例えば、楽天の電子書籍サービス「Raboo」。楽天はカナダのKoboを買収し、電子書籍サービスをそちらに移したため、「Raboo」はなくなってしまいました。その結果、Rabooを利用していた人は、購入した作品の再ダウンロードができなくなってしまったのです。多少の補填はあったものの、最終的にRabooで購入した電子書籍を、Koboで読めるようにはならなかったようです。

 再ダウンロードが出来なくなったとはいえ、すでにダウンロード済みのものは端末に残り、いつでも読むことは出来たようですので、電子書籍の他のすべての利便性を無視して、「何冊もの本が詰まっている本」として本棚に並べておけば、書籍としての機能だけは果たせたようです。

 紙の書籍でも、家が火事になって焼けたら新たに買いなおさないといけなかったり、風呂場で読んでいて湯船の中に落としてしまった場合も新しく買うしか方法はなかったりするわけですので、引き分けという事で許してもらえないでしょうか。
 電子書籍なら、端末が壊れても別の端末でログインすれば、新しく買う必要はありません。それも加味してなんとか引き分けという事に……。

 当時はそういった顛末になったわけですが、それは利用者が少なかったからでしょう。
 その後、Yahoo! ブックストアとeBookJapan(BとJが大文字)は別々に存在していたのが、ebookjapan(全部小文字)に統合されるということがありました。形式上、Yahoo! ブックストアが消滅したのです。その際は、どちらの電子書店で買っていた電子書籍も継続して読むことが出来ましたので、Rabooがつぶれた時の様な事にはなりませんでした。

 これだけ電子書店が乱立している現在なら、どこかがつぶれたとしても、また別の電子書店が引き取る形になると思われますので、余計な心配は不要でしょう。
 むしろ、そんな風にどんどん弱いところはつぶれて統合していって少なくなって欲しいくらいです。

私の対策

「潰れないようなところを選ぶ。」
「潰れないようにみんな使ってもらうよう自ら宣伝する。」

 

 自衛手段としてはこれくらいだろうか。「じゃあ、潰れないようなところってどこ?」という話になるが、これは難しい。Amazonなら大丈夫だろうと思っていても、突然、電子書籍サービスをやめるかもしれない。やめないまでも、本国では続けるが、日本では採算が取れないので、日本語の書籍は増やさないと言い出すかもしれない。よっぽどのことがないとそうはならいだろうが……。

アカウントが使えなくなったら読めなくなる。

 アカウントにログインできなくなれば、当然読めなくなってしまいます。

 ログインできなくなる理由は、いくつかあります。よくあるのは、IDやパスワードを忘れてしまった場合でしょう。これは電子書籍に限らず、ネットサービス全般で同じことですので、当たり前すぎて特に電子書籍だからどうこうという話ではないかと思います。他には、アカウントが乗っ取られてしまった場合もログインできなくなります。これもネットサービス全般の話です。

 それ以外にも思ってもみない理由でアカウントが使えなくなることがあります。それが「アカウント停止」です。滅多にないことですが、ないこともない理由です。「Amazon Kindleを使っている人がAmazon アカウントを停止されたためにKindleで買った4000冊が全く読めなくなった」という出来事が話題になったことがありました。原因は「転売サイトから買った安いAmazonギフト券を使ったから」だそうです。「私は怪しげなところで買ったりしない」と思っていても、「友人に誕生日プレゼントとしてもらったAmazonギフト券が実は転売サイトで購入されたものだった」ということはあるかもしれません。

私の対策

 言うまでもなくIDやパスワードはきっちりと管理し、電子書籍の販売元の提示する規約をしっかりと守ることが最低限必要だ。その上で、出自のはっきりしないギフト券は使わないようにする。私に限って言えば、ギフト券ををくれるような人はいないから安心だ。

 

 色んな人からギフト券をたくさんもらって困る、というような人は電子書籍のみのサービスを利用するか、電子書籍を買うためだけのアカウントを買い物用のアカウントとは別に作るかしておけば良いんじゃないかと思う。

五感に働きかけてこない。

 一様ではない紙の色。ページをめくるときに漂ってくるインクの匂い。紙擦れの優しい音。紙に皮脂を吸いとられてかさつく指先。

 紙の読書体験は、これらの感覚も同時に味わうことが出来ます。それらがないと読書をしている気にならないという人もいるかもしれません。内容とそれらの感覚が結び付きすぎて、あるシーンのことを思い浮かべるとき、同時にページの染みまで思い出してしまうという事もあるかもしれません。

 当然のことながら電子書籍でそれらを味わうことは出来ません。

 紙の色やページをめくる音に関しては、アプリで擬似的に表現してあるものはあります。ただ、やはり本物とは差がありますし、匂いや指先の感覚に関しては、まだしばらく実現することは不可能だろうと思われます。

私の対策

 私は通年性のアレルギー性鼻炎があり、大して嗅覚が良くない。そのため普段から匂いに関して鈍感だ。「食べ物に変な匂いのする毒が入っていても気付かずに食べるだろう」「味覚障害、臭覚障害がCOVID-19の症状としてあるらしいが、君の場合はいつもだから参考にならないな」などと言われている位だ。

 

 そのために普段から感覚の鈍さを想像力で補っているところがある。もともと、紙の書籍を読んでいる時も紙とインクの匂いを感じていたのかあやしい。それでも、かすかにだが感じていたように思っている。
 ただ、スマホの電子書籍アプリを立ち上げても、同じように紙とインクの匂いを感じることがあるので、昔感じていたあの匂いも幻だったんじゃないだろうか、と今は思っている。

 

 インクの匂いがせず、紙をめくる感覚も味わうこともできない、とはいえ、五感そのものがなくなるわけではない。「『〇〇という作品は、機種変前のスマホで読んだなあ。傷だらけの画面で読んだ覚えがあるから、機種変寸前の頃のはずだ。カバーもぼろぼろで指の皮膚にひかっかったっけ」なんて風に、感傷に浸ることは出来る。電子媒体だからといって、情緒がないわけじゃないと思う。

作家の応援にならない?

 作家の応援とは一体何の話か、と思われるんじゃないでしょうか。これはなかなかややこしい問題のようです。
 主に連載漫画やライトノベルに関する話と、出版・流通の仕組みにかかわる話と二つあるようです。

連載漫画やライトノベルの話

 雑誌に連載されている漫画やライトノベルは、「紙の単行本の売上で、続編を出すのかどうかを編集者が決める」というようなことがあるようです。そのため、紙の書籍で買ってもらわないといけない、というような話のようです。

出版・流通の仕組みにかかわる話

 世の中には、数えきれないほどの本がありますが、書店に並べることが出来る本の数は限られています。そのため、書店は出来るだけ売れる本を選んで並べたいと思っていて、発売直後の売れ行きでどの本を書店に並べるのかをきめる、ということみたいです。

 最初に売れないと判断されれば、売り場に並べてもらえず、そのまま埋もれてしまうということもあるようです。

 また、出版社は本屋に並べてもらうため、紙の書籍を何千部、何万部とまとめて刷って、それを各問屋におろします。そして、問屋におろした時点で、出版社は利益が確定します。紙の書籍がそうやって利益を判断しやすい一方で、電子書籍は一冊ごとにダウンロードされていくため、利益がすぐに確定しません。そのため、出版社としても、その作品がどれくらいの利益をもたらすのか、評価がしにくく、作品自体の評価も紙の書籍偏重となるというわけです。

 出版社全部が全部そういうわけではないようですが、一部にでもこういった事情があることは確かなようです。

私の対策

 これらは紙の書籍がメインであるからこそ起こることであり、電子書籍がさらに一般的になり、売上金額が逆転すればなればこれらのことは起こらなくなるだろう。よって、みんなに電子書籍を薦めるこの記事こそが私の対策と言うことになる。

 

 そもそも、電子書籍の方が、個人の″買った・買わない″がはっきりするはずだ。問屋がどれだけ注文したかよりも、読者がどれくらい購入したかの方を重視して、システムを作って欲しいと思う。

映えない。

 TwitterやInstagramで「〇〇(作家名)さんの□□(作品名)を買いましたー!」といった投稿をしている人をよく見かけますが、これは電子書籍では出来ません。「買いましたー!」のコメント付きで、表紙のスクリーンショットをアップしたところで、見た人は「これ必要?」となるだけでしょう。

私の対策

 そもそも買った本を写真に撮ってアップするということ自体がないので、対策をとるもなにないのだが、もし、何かしらの対策をするとしたら、で考えてみる。

 

 表紙を写したスマホの画面を別のスマホで撮ってアップするというのはどうだろうか。

 

 本当に買ったのかどうかわからないが、それを言うなら紙の書籍の写真だってそうだし、それで良いことにしたい。

漫画は画面の小さなスマホでは読みづらい。

 画面の拡大は簡単に出来ますが、その一手間が面倒だという事がよくあります。また、基本的にスマホでは一ページずつしか表示できないため、見開きを想定して描かれたコマは、本来の作者の意図した見方ができません。それが嫌で、自分の漫画の電子書籍化を拒む漫画家もいらっしゃるようです。

 ページの上側だけ見開きで、下側は通常の場合は特に混乱してしまいます。例えばこんな感じです。

「まだ名前を名乗っていないのに、なんで名前を知ってるの?」となりますが、次のページを見ると、見開きの1コマで名乗っていたことが分かります。

 こういった演出をしている場合は、見開きでないと見られないと雰囲気がなくなってしまいます。

私の対策

 画面の大きなタブレットで読むなら、問題にならない。横持ちをすれば、二ページ同時に表示することが出来、作者の想定通りに見開きを見ることが出来る。

 

 最近は折りたたみスマホや、二画面スマホも出てきている。横に開くタイプのものであれば、見開きで二ページ表示できる。そういったスマホの進化にも期待したい。

 見開きスマホ「Surface Duo」について書いたので参照してほしい。

Surface Duoはとても電子書籍向けだと思う。

メリット

 利用する電子書店や、アプリによって多少の違いはありますが、大体に共通するメリットを挙げたいと思います。

場所を取らない。

 一番のメリットは何といってもこれだと思います。いくら本を買っても買っても置く場所に困ることがありません。図書館を使う機会が多い人や、読み終えたらすぐに古本屋に売ってしまう人は良いかもしれませんが、「しばらくしたらまた読み返したい」「もしかしたらいつかまた読み返すかも」と手元に置いておきたい人にとっては、かなりのメリットになると思います。

 私は図書館はあまり使わず、「もしかしたらいつかまた読み返すかも」派で、かなりため込んでしまっていたのですが、電子書籍で買うようになって、部屋がかなりすっきりしました。本棚を置いていた1m × 3m位のスペースが空きました。

 もし、60平方メートル位の広さで、月6万円の賃貸に住んでいたとしたら、本棚のスペースである3平方メートルは月3000円位の価値になります。年間でいうなら、36,000円です。「毎日、コーヒー一杯分の価格でご購入できます!」という売り文句で、30万円のものを36回払いで買わせるような詭弁にすぎませんが、それはそれとして、部屋が広く使えるのはいいことです。

「部屋を広く使えるし、これから先、本棚を買い足す必要もなくなるし……」と思い、紙の書籍で持っていた本も、かなりの数を電子書籍で買いなおしました。

 ただ、場所を取らないからと、つい買いすぎてしまうことがあるので、そこはデメリットかもしれません。

持ち運びが楽。好きな時に読める。

 スマホの中にデータをダウンロードしておけば、いつでも、どこでも、好きな本を読むことができます。急に空いた隙間時間でも、電車やバスの移動中でも読めます。

 旅のお供にどの本を持って行こうかと悩むことも多いかと思いますが、悩む必要がなくなります。全て持っていくことが出来ます。旅先で「過去に読んだ作品のあのシーンのあのセリフ、どんなだったかな」と急に気になったとしても大丈夫です。すぐに調べることが出来ます。

好きな時に買える。購入の気楽さ。

 売り切れもありませんし、本屋の閉まる時間を気にする必要もありません。都会なら気にならないことかもしれませんが、田舎の本屋は閉まるのが早く、品ぞろえもよくないのです。ネットや書店で注文することは出来ますが、すぐに届くとは限りません。

 気楽すぎて、積ん読本が多数あるにもかかわらず「とりあえず買っておこう」と買いすぎてしまう可能性はありますが、逆に「いつでも買えるから今買わなくてもいい」と無駄に買いすぎなくなる可能性もあります。

迷っている本をブックマークしておける。

 書店で気になる本を見付けたとします。いつも必ずすぐに買いますか? 気にはなるけど「とりあえず、また今度。評判を確認してから」と、帰宅するようなことも結構あるんじゃないでしょうか。そして、そのまま忘れてしまって読まずに終わってしまうことも多いんじゃないでしょうか。

 電子書店なら、とりあえずブックマークしておくことが出来るので、定期的にブックマークを見直すことで、完全に忘れてしまうことを防げます。

割引が多い。

 古本屋で買うよりは割高でしょうが、新刊で買うよりは割安です。電子書店ごとに独自の割引を行っていることが多いので、一概に「どれくらい安い」とは言えませんが、10%位の割引はよくあります。

すでに持っている本を間違えて買うことがない。

「古本屋をよく利用し、店頭で気になる本があれば、とりあえず買っておこう」としていた時期によくありました。「もしかしたら、すでに持っているかもしれない。でも、今買わなかったら次に来た時にはないかもしれない」。そう思って買って帰って本棚を確認したら、やっぱりあったというようなことが。

 電子書籍であればそんな心配はありません。購入しようにも、購入ボタンがクリックできないようになります。ただ、単行本が文庫化したときや上中下巻に分冊で出版されたり、数巻がまとまって一冊になった合本版が出たりすることがあって、それは別本扱いとなるので注意が必要です。

文字を大きくしたり小さくしたり出来る。

 人によって、読みやすい文字の大きさは違うと思います。あまり小さすぎるとぼやけて見えないですし、大きすぎると一度に読める範囲が狭くて読みづらいというようなことがあります。電子書籍なら好きな大きさに変えることが出来ます。

左から最大と私がいつも読んでいるサイズと最小(BookLive!の場合)

マーキングやメモ書きが自由。

 小説や実用書を読んでいて、気になる文言があった時、そこにすぐマーカーを引いたり、メモ書きをしたりすることができます。また、あとから、自分の書いたメモだけを見返していくこともできます。

検索ができる。

「なんとなく、こんな感じのこと書いてたけど、正確にはどんな風な文言つかっていたかな?」というときに、検索することが出来ます。

メリット(洋書編)

 現状、洋書の取り扱いが多いのは、amazon.comのKindleと楽天Koboの二つです。私は洋書を買うことはほとんどないので、どちらが洋書を読むのによいかを言うことは出来ませんが、色々調べた感じでは甲乙つけられない感じです。普段、ネット通販で買い物をするとき、どっちをより使うかで決めたら良いように思います。他の買い物と同じく、ポイントもちゃんと付きます。

「なぜ、楽天が洋書を?」と思われるかもしれませんが、Koboは元々カナダの電子書店で、それを楽天が買収して楽天Koboとしたのです。カナダの電子書店だったので、洋書に強いのは当然なのです。

洋書も買いやすい

 洋書は、紙の書籍だとそこそこ大きめの本屋じゃないと取り扱っていませんし、取り扱っていたとしても、大抵はコーナーの一角のみです。しかし、電子書店でなら、どんな田舎に住んでいても、英語圏の都会の書店以上の品ぞろえを楽しむことが出来ます。

辞書がいらない

 洋書に関してはこれが一番のメリットじゃないでしょうか。わからない単語をなぞれば、その言葉の意味を調べることが出来ます。

まとめ

 色々書きましたが、最終的には使ってみないことには、自分に合うか合わないか分からないと思います。

 明治の文豪の作品の中には著作権がきれているものもあり、そういったものなら無料で配布されていますので、まずはそういったもので試してみてはどうでしょうか。

とりあえず、無料の名作で試してみる。

 夏目漱石は1916年に亡くなっており、作品の著作権はすでに切れています。そのため、彼の作品は無料で読めます。とりあえず、「草枕」の各電子書店へのリンクをはっておきますので、是非、電子書籍を試してみてください。

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