正式名称は?
「全国書店員が選んだ いちばん! 売りたい本 〇〇年本屋大賞」が正式名称。「売り場からベストセラーをつくる!」がキャッチコピーです。
いつ誰が何のためにいつ作った賞?
本屋大賞は2003年に「本の雑誌」編集長(2003年当時)浜本茂(はまもとしげる)によって創設されました。
創設の経緯は、2002年下半期の直木三十五賞が「受賞作なし」と発表したことに端を発します。ただでさえ本が売れなくなってきているところへ、追い打ちをかけるように「受賞作なし」。受賞作が実際に書店で売れていく賞は多くはないのに 「受賞作なし」 。そのことに危機感を持った書店員達が「じゃあ、自分たちで何かをつくろう」と考えたのが、本屋大賞の始まりだそうです。つまり面白い書籍に賞を与え広く知らしめることで、その書籍が売れるようにするための賞です。
そこがスタート地点ですから、第1回の授賞式で浜本茂は「打倒直木賞!」 と対立軸を打ち上げます。
そもそも直木三十五賞は「文芸の向上顕揚を計ること」が目的であり、売れないことには文芸の向上掲揚もなにもあったものではありませんし、文芸の向上掲揚が達せられればそれだけ書籍が売れるようになりますので、お互いに倒す倒されるの関係ではありません。ですが、対立軸があれば、文芸界隈の成り行きに興味を持つ人が増え、直木賞と本屋大賞の受賞作や候補作を読み比べるようになるでしょう。
それはきっと直木賞としても本望だろうと思います。
主催は?
書店員有志で組織するNPO法人本屋大賞実行委員会が主催です。
本屋大賞実行委員会とは?
2005年11月30日に浜本茂によって設立されました。定款には以下のように記載されています。
この法人は、広く一般市民を対象として、年次を代表するにふさわしい優良な書籍を選定する本屋大賞の実施事業、普及・啓発事業、広報事業、教育事業等を行うことにより、出版文化の振興と豊かな国民生活及び活力ある社会の実現に寄与することを目的とする。
https://www.npo-homepage.go.jp/npoportal/detail/013005271
本部はどこ?
東京都千代田区神田神保町にある本の雑誌社内にあります。芥川龍之介賞、直木三十五賞を主催する公益財団法人日本文芸復興会と株式会社文芸春秋の関係と同じで、 NPO法人本屋大賞実行委員会の理事長と株式会社本の雑誌社の代表取締役は兼任されています。
投票期間と発表日は?
前年の12月から全国の書店員による一次投票が始まります。1月に一次投票が締め切られ、ノミネート作品が発表されます。そこから同じく全国の書店員による二次投票を経て、4月に発表となります。
例として2019年のタイムスケジュールを載せておきます。2018年 | 12月1日(土) | 一次投票、発掘部門、翻訳小説部門、投票スタート |
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2019年 | 1月6日(日) | 一次投票、発掘部門、投票締め切り |
1月22日(火) | ノミネート作品発表、二次投票スタート | |
2月11日(月祝) | 翻訳小説部門 投票締め切り | |
2月28日(木) | 二次投票締め切り | |
4月9日(火) | 大賞作品、発掘部門、翻訳小説部門の結果発表 |
どんな作品が対象になるの?
同じく、例として2019年のケースを載せておきます。本屋大賞 |
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2017年12月1日〜2018年11月30日に刊行(奥付に準拠)日本の小説 |
翻訳小説部門 |
2017年12月1日〜2018年11月30日に刊行された翻訳小説 |
発掘部門 |
ジャンルを問わず、2017年11月30日以前に刊行された作品 |
賞金とかあるの?
本屋大賞ロゴマーク入りクリスタルトロフィーと副賞として図書カード10万円分が授与されます。賞の規模の割には額が小さいですが、単に賞としてというだけではなく「副賞としてもらった図書カード10万円で、どんな書籍を購入したかを公表する」というところまでが、本屋大賞というイベントだったようです、最初は。第一回(2004年)から第7回(2010年)までは公表されていましたが、以降はなくなっています。また、発表会のレポートも公式サイトに掲載されていましたが、第9回(2012年)を最後にして、以降はなくなっています。
最初の内は本屋大賞を盛り上げるために、受賞者も一丸となっていたのが、本屋大賞の知名度が上がってきて、自ら発信しなくてもメディアが取材してくれるようになったので、そういったことが必要なくなったということでしょうか?
過去の大賞受賞作品と作者
回(年) | 作品名 | 著者 |
第17回(2020年) | 流浪の月 | 凪良 ゆう |
第16回(2019年) | そして、バトンは渡された | 瀬尾 まいこ |
第15回(2018年) | かがみの孤城 | 辻村 深月 |
第14回(2017年) | 蜜蜂と遠雷 | 恩田 陸 |
第13回(2016年) | 羊と鋼の森 | 宮下 奈都 |
第12回(2015年) | 鹿の王 | 上橋 菜穂子 |
第11回(2014年) | 村上海賊の娘 | 和田 竜 |
第10回(2013年) | 海賊とよばれた男 | 百田 尚樹 |
第09回(2012年) | 舟を編む | 三浦 しをん |
第08回(2011年) | 謎解きはディナーのあとで | 東川 篤哉 |
第07回(2010年) | 天地明察 | 冲方 丁 |
第06回(2009年) | 告白 | 湊 かなえ |
第05回(2008年) | ゴールデンスランバー | 伊坂 幸太郎 |
第04回(2007年) | 一瞬の風になれ | 佐藤 多佳子 |
第03回(2006年) | 東京タワー オカンとボクと、時々、オトン | リリー フランキー |
第02回(2005年) | 夜のピクニック | 恩田 陸 |
第01回(2004年) | 博士の愛した数式 | 小川 洋子 |
まとめ
設立者 | 浜本茂(はまもとしげる) | 設立目的 | 良書を選び広く知らしめることで書籍の売り上げを伸ばす |
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主催 | 本屋大賞実行委員会 |
選考方法 | 新刊を扱う書店(オンライン書店含む)で働く書店員の投票 |
賞品 | 本屋大賞ロゴマーク入りクリスタルトロフィー 副賞:図書カード10万円分 |
発表月 | 4月 |
対象期間 | 本屋大賞、翻訳小説部門 |
前々年12月1日〜前年11月30日(奥付に準拠)に刊行された作品 | |
発掘部門 | |
前々年11月30日(奥付に準拠)以前に刊行された作品 | |
発表媒体 | 単行本 |
ジャンル | 本屋大賞:小説、翻訳小説部門:翻訳小説、発掘部門:問わず |
対象作家 | 新進、中堅、ベテラン問わず |