インクに潜りながら、こう考えた。
攻めに攻めてもしのがれる。守りに徹せど崩される。裏取りしてたら全滅だ。とかくにガチマッチは勝ちにくい。
勝ちにくさが高じると、安い所で戦いたくなる。どこで戦っても勝ちにくいと悟った時、ツイートが生れて、ブログが出来る。
前説
単細胞生物から多細胞生物へ
約35億年前、地球上に初めて生命が誕生した。最初の生命は、一つの細胞で一つの個体を成す単細胞生物だった。それから約25億年ほどが経過して、複数の細胞で一つの生命体を形作る多細胞生物があらわれた。
初期の多細胞生物は同じ能力を持った細胞の集まりで、ただの群体に近いものだったが、時間がたつにつれ、違う働きをする細胞が一つの個体の中に同居するようになった。
ほぼ同一の機能と構造を持った細胞が集まって「組織」となり、異なった働きの組織が集まって「器官」を形作る。そうして、より複雑な生命活動が行えるようになっていった。
進化の方向性
約4億5000万年前には初の脊椎動物である魚類が誕生した。地球上の生命にとって「脊椎」を手に入れたことは画期的な出来事で、進化の方向性を決定づけた。
脊椎動物はその後、陸上での生活をも可能にした両生類、一生を通して肺呼吸のみとなった爬虫類、体温を一定に保つ能力を持った鳥類、哺乳類と拡がりを見せていく。
人類
哺乳類の中から人類の直接の祖先にあたる猿人があらわれたのが約500万年前。そこから原人、旧人と進化していき、今現在の人類である新人へと到達したのが約4万年前だ。
今の人類として完成するまでにそれだけの年月をかけて進化してきた一方で、初代スプラトゥーンがWiiUで発売されたのは2015年5月28日であり、今日でようやく7年に達したところだ(2022年5月28日現在)。現在の人類が生まれた瞬間を0時とし、今現在を24時とするならば、初代スプラトゥーンが発売されたのは、23時59分45秒88の瞬間になる。まだ15秒強しか経っていないのだ。
そのため、人体のシステムはまだスプラトゥーンに適した形には進化出来ていない。
もうすぐ本題
なかなか本題にたどり着かないが、もう少しだけお付き合いしてほしい。
上記のとおりに人類は脊椎動物である。脊椎動物は名前の通りに脊椎を持った動物だ。ただ、脊椎を持つこと自体はそれほど重要ではない。重要なのは「脊椎に守られた脊髄を持つこと」「脊髄の先端に脳を持つこと」なのだ。
複雑な神経系
現状、進化の最終段階に当たる人類は、最も複雑な神経系を持っている。
解剖学的な分け方をするなら、大きくは「中枢神経」「末梢神経」にわかれ、前者は「脳」「脊髄」の2種類、後者は「脳神経」「脊髄神経」の2種類にわかれる。
機能面から分けるなら、大きくは「体性神経系」「自律神経系」にわかれ、前者は「知覚神経」「運動神経」の2種類、後者は「交感神経」「副交感神経」の2種類にわかれる。
スプラトゥーンをするうえで、当然、知覚神経、運動神経は重要だ。指先の感覚がない、指が動かないというのではゲームにならない。しかし、一定以上の能力があればそれで十分で、X帯ともなるとここで優劣はつかない。例え、優劣がつくとしても軽微なものだろうと思う。
大きく優劣が付くとしたら、自律神経の方だと私は考えている。
交感神経と副交感神経
交感神経は、闘争・逃走反応を引き起こす神経である。
何らかの危険が迫りきたとき、その危険と戦うにしろ、危険から逃げるにしろ、この神経が活発になる。当然、スプラトゥーンも一種の戦闘であるため、この神経が大いに関係する。
交感神経が優位になると、人間の身体はどうなるのか?
少しの光も取りこぼさないように瞳孔は拡大し、エネルギーを節約するため唾液は減少し、胃腸の動きは低下する。
そして心臓はというと、より強く収縮し、より早く鼓動をうつようになる。その結果、一回に送り出す血液の量が増え、さらにその送り出す回数も増える。戦うにしろ、逃げるにしろ、全身が血液を必要とするからだ。
脳はフル回転で一瞬の判断を間違えないように備えなければならないし、筋肉はその一瞬の判断に従って動かなければならない。
脳や筋肉への血流が増える一方で末梢血管は収縮し、手先や足先の血流は減る。細かい動きは必要ないからだ。
武器を持って戦う、走って逃げる。いずれも腕や足の大きな筋肉に血液が来れば十分で、針に糸を通すような細かな作業は、闘争や逃走に必要がないのだ。よって血流の割り当ては減らされる。
加えて、手先や足先は傷を負いやすい。頭を庇って手に攻撃を受けるしれないし、走って逃げる際に何かを踏んで足に怪我をするかもしれない。そんな時、末梢血管が収縮していれば出血量が少なくてすむのだ。
スプラトゥーンへの影響
これらの反応の出方は個人差が大きい。だからこそ、ここでスプラトゥーンのプレイに優劣が付く可能性が高いと感じるのだ。
誰でも大枠では前述の通りの反応が起こるわけだが、リラックスしてプレイできているならその反応はわずかになるだろうし、緊張が強ければより強い反応となる。
私はより強い反応が出る側だ。そのことがスプラトゥーンをプレイするうえで不利になっている。
交感神経がリズムを崩す
心拍数が上がることで体内リズムが狂ってしまう。
例えばの話である。「1.5秒だけイカダッシュすれば私の武器の射程範囲内に入る」位の距離に敵を見付けたとしよう。
頭で1.5秒の距離だなと考えるわけではない。私の身体が覚えていることだ。平常時なら、必要な時間だけインクの中を泳いで、エイムを定めて撃ち始めるだろう。ところが脈拍が早くなっていると、体内リズムが狂ってしまい、1.5秒進つもりが、1.3秒進んだだけでインクを撃ち始めてしまう。
結果、距離が足りずに当たらない。そして、相手に気づかれて、逃げられる。もしくは、反撃をうけて倒される。
私の手は冷えている
末梢血管が収縮した結果、血流が減り手先が冷たくなる。確かに過去の闘争にはそれが有利だったのかもしれない。ところがスプラトゥーンは手先の細かい動きこそが必要なのだ。そこにこそ血液が欲しい。身体の中心から熱を運んできて欲しい。
しかし、私の身体はそれを拒む。4万年前から相も変わらず、末端部の筋肉への血液を節約し、中心部の筋肉や内臓にばかり血液を送るのだ。
ガチマッチを重ねて、交感神経が活発になればなるほどに手は冷たくなっていき、細かい作業が出来なくなっていく。
脳への血流は増え、明晰になっていく。瞳孔は拡張し、僅かな動きも認知するようになる。しかし! それでも! 指先が動かないのだ!
人体のシステム
生存に有利となるはずのシステムが私の足を引っ張る。戦おうという気持ちが強くなればなるほど不利になっていく矛盾。
そういうときは一旦お茶でも飲んでリラックスして、交感神経を落ち着かせればよいのだろう。しかし、私はそうはしない。人間いつでも万全の状態で戦えるとは限らない。不利な状況で戦っていてこそ、どんな時でも勝てるようになるのだと信じているからだ。
人類の進化
これまでの人類は交感神経が優位に働けば、脈は速くなり、末梢血管は収縮していた。しかし、これからの人類はどうなるかわからない。今回の話は、スプラトゥーンに限らず、Esports全般に言えることだ。Esports全般において、闘争の場面で末梢血管が拡張していた方が有利なのだ。
生物界は適者生存。いかなる環境であれ、その環境下において生存に有利な遺伝子を持つものが子孫を多く残し、その結果、その性質を持つ個体が増えていく。
これまでは闘争・逃走の場面で脈が速くならず、末梢血管が拡張していた人間は、生き残れず、子孫を残せないでいた。しかし、これからは違う。
Esportsによってお金を稼ぐことが出来るようになれば、子孫を増やすことができる。生物の反応として、これまでは適切でないと思われていた反応をする個体であっても遺伝子を増やしていくことが出来るようになったのだ。
結語
最終的に私が言いたいのは「スプラ―トゥーン生誕7周年おめでとう。人類の進化とともにあれ」ということだ。