【マニュアル・サミュエル ~死神との約束~】日本製のゲームは清潔だなと再確認させられる。

マニュアル・サミュエル ~死神との約束~

 販売元テヨンジャパン
 開発元Perfectly Paranormal
 発売日2016年10月15日
 価 格1,000円(税込)
 その他

マニュアル・サミュエル ~死神との約束~

 販売元テヨンジャパン
 開発元Perfectly Paranormal
 発売日2016年10月15日
 価 格980円(税込)
 その他

http://gamesukio.com/games/wp-content/uploads/2019/01/icon-2_1.jpgげいむすきお

「奇抜な設定と特殊な操作でウケを狙って、それで終わりの出落ちゲーム」かと思いきや、意外としっかりと作られています。ゲームオーバーがないので、ゲームが下手な人でもクリアまで楽しめて、その一方で、タイムアタックはそこそこな難易度があって挑戦のしがいがあります。アクションゲームが得意な人でも苦手な人でも同じくらい楽しめるように作られています。
 ただ、ストーリーは好みがわかれるかも知れません。大手からはまず出せないような”悪ふざけの最中に悪乗りを始めるインディーズらしいストーリー”で人によっては寒いと感じたり、グロいと感じたりはあると思います。「CERO:C(15才以上対象:暴力、セクシャル)は伊達じゃない!」といったところです。私は好きですけどね。

どこのゲーム?

 発売元はテヨンジャパン。ポーランドに親会社があります。
 開発元はPerfectly Paranormal。ノルウェーの会社です。

テヨンジャパンについて

 合同会社テヨンジャパンテヨンの子会社で、東京都港区高輪に本社があります。テヨンは響きが韓国語っぽいですが、ポーランドに本社を置くコンピュータゲーム開発会社で、欧米のゲーム会社(自社ゲーム含む)のローカライズ作品を販売しています。
 テヨンジャパンがどういう会社か、公式サイトに書いてありましたので引用します。

弊社は欧米と日本の架け橋となり、海外デベロッパー様独自のタイトルを日本語ローカライズし日本のユーザーの方にご提供し、また、海外展開を目指す日本のデベロッパー・パブリッシャー様独自のタイトルを五ヶ国語にローカライズし欧米のユーザーの方にご提供しています。

公式サイトhttp://www.teyon.jp/corporate/company/

 ふにゃふにゃ人間の「ヒューマンフォールフラット」もこのテヨンジャパンのローカライズです。

Perfectly Paranormalについて

 ノルウェーのハーマルに本社をおく会社です。ノルウェーに馴染みがなさすぎて、ハーマルがどこか全くわかりませんが、調べてみるとノルウェー中部にあるヘードマルク県の県庁所在地だそうです。
 日本に拠点はなく、サイトも英語のみです。フェイスブックに書いてあった紹介文を載せておきます。

Perfectly Paranormal is a rag tag team of misfits, based in Hamar. With focus on character driven stories with unique gameplay, PP is all over the place.

公式 Facebookhttps://www.facebook.com/pg/PerfectlyParanormal/about/

適当に訳すと「PerfectlyParanormal(PP)はハーマルを根城にする不逞の輩が集まったチーム。作るゲームは、キャラクター中心のストーリーに独特の操作方法で、どこをとってもPPらしくどうかしている」

どんなゲーム?

  ネタゲーのようで、その実、親切に作られた完成度の高いゲームです。これがどういうゲームなのかは操作方法を説明するだけで8割方の説明が済んでしまいます。まずは主人公の名前はサムだということだけ覚えておいて説明を読んでください。「そういうゲームなのか」とわかっていただけると思います。

 重要なボタンから順に説明していきます。

ZLボタンZRボタン歩行します。 ZLボタンで左脚を前にだすことが出来て、ZRボタンで右脚を前にだすことが出来ますので、交互に押すことでサムは歩行することが出来るのです。同じ側の脚ばかり連続で前に出すと、バレリーナのように前後に開脚して、そのままの格好でぴょこぴょこと前に進みます。

・YボタンAボタン呼吸をします。呼吸をするのになぜボタンが二つも必要なのか? 息を吸って、その後吐かなければならないからです。Yボタンで息を吸い、Aボタンで息を吐くのです。さらにボタンの押し時間によって、吸う時間、吐く時間を調整出来ます。呼吸しないとサムは窒息して倒れてしまい、動けなくなってしまいます。ピクリともしなくなりますが、死にはしないので安心してください。

・Bボタンまばたきです。まばたきをしないとサムの目は充血し、周りが見えなくなってきます。ゲーム画面が白んでいき、何も見えなくなっていくので、プレイヤーもサムの状態を擬似体験することが出来ます。

・上方向ボタンで、背骨をまっすぐにします。背骨が曲がっていては歩くこともままなりません。首が座っていない赤ちゃんを想像してください。首が座っていない赤ちゃんを頭を支えずに縦抱きにすると、数秒はもちこたえても、すぐにがくんと前か後ろかに倒れてしまいます。サムは背骨が座っていません。

Rスティック振り返ることが出来ます。逆の方向に進みたくなった時に使ってください。これはどのゲームでもよくある操作方法です。 

RボタンLボタン手を使うことが出来ます。コップをつかんでコーヒーを飲んだり、セキュリティーカードを手に取ったり、ドアの取っ手を握ったりと色々使います。

Xボタン頭部に手をやります。頭を洗うときや、手に持った歯ブラシを口元に持っていくのに必要な動作です。

 これが通常のステージで使う基本操作です。これ以外にも、ステージごとに特殊な操作をしなければならないことがあるのですが、それはその場で学ぶしかありません。

どんなストーリー?

 操作方法も独特ですが、ストーリーも独特です。公式サイトから引用します。

裕福な家庭で育った青年「サム」は不運な事故にあいます。地獄で目を覚したサムは死神の「デスオ」に出会い、蘇生の条件として24時間“マニュアル生活”を強いられることに。

サムの手足、背筋、呼吸、瞬きなど生活に必要な動作や行動はコントローラーのボタンに割り当てられています。操り人形の感覚でサムをマニュアル操作して、サムの“悲惨な物語”を楽しもう!

公式サイトhttps://ec.nintendo.com/JP/ja/titles/70010000011449

 あと、どうしてもいっておかないといけないのが「全体的に汚い」ということです。 女性ウケは全くしそうにありません。そこは注意しておいてください。
 プロローグからして汚いです。サムをはねたトラックの運転手はその場で嘔吐します。最初のステージで、サムは立ったまま便器に向かって排尿をしようとして、尿が身体にかかります。


 日本製のゲームにおいて、嘔吐シーンで吐瀉物が描かれることはまずありませんし、トイレのシーンで尿が描かれることもまずありません(特殊な層へ訴求しているゲームは除きます)。
 これ以外のポーランドのゲームをプレイしたことがないため、その差が文化の違いからくるものなのか、開発元のPerfectlyParanormalが特殊なだけなのか、正確なところはわかりません。……わかりませんが、多分、後者だと思います。

個性的なキャラクター

 金持ち喧嘩せずを地で行く細かいことは気にしないサム。普段からたまりにたまったサムへの不満を、ガラス瓶でサムの顔の骨を折ることで解消するサムの彼女。サムが苦しんでいてもまったく気にもとめずずっとキックフリップの練習をしているデスオ。
 それ以外にもデスオの女友達や先輩もわけのわからないことを言いながら登場しますし、ナレーションもかなりふざけています。

 個性的なだけに好き嫌いはわかれると思います。ブラックなことをしたり言ったりするキャラクターも多く、そういうのが嫌いな人には合わないゲームかな、と思います。
 私はストーリーもキャラクターも面白いと思いましたが、それと同時に「みんなにお勧めできるものではない」とも思いました。

良かった点、面白かった点

 最初は歩くこともままならないのに、クリアするころにはタイムアタックが出来る位に、サムのマニュアル操作に習熟しています。キャラクターが育って強くなるのではなく、プレイヤーが上手くなって思い通りに動かせるようになっていきます。この「上手くなった」という実感を得られる所が、ゲームらしくて良いと思います。

 また、アクションゲームですが、死ぬことがありません。「死んでステージの最初から」というものがないため、失敗してもその場からすぐやり直せて、読み込みの時間待ちやクリアした所をやり直す手間もなく、サクッと遊べますし、どんなに下手でもクリアまでいくことができます。

 クリアまでは簡単でも、タイムアタックモードやアチーブメントもありますので、やりこみたい人は存分にやりこむことができます。

 とっつきがよく、やりこむと奥深く、気軽に遊べて楽しいゲームだと思います。

 公式のPVも載せておきます。

まとめ

  • 一見ネタゲームだが、遊びやすいよう丁寧に作られていて完成度が高い。
  • クリアまでは簡単でも、高難易度のやりこみ要素も用意されている。
  • 人物も物語も個性的すぎて一般ウケはしない。
  • Perfectly Paranormal開発、テヨンジャパン(TEYONの子会社)販売。
  • Perfectly Paranormalはノルウェー、TEYONはポーランドが本拠地。

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