『ビブリオバトル 本を知り人を知る書評ゲーム 』谷口 忠大【感想】戦う書評ビブリオバトル。

内容(公式サイトから引用)

 おすすめの一冊を持ち合い、本の魅力を紹介しあう「ビブリオバトル」。ゲーム感覚を取り入れた、新しい”書評”のかたちが今注目を集めている。シンプルなルール、そして「人を通して本を知る。本を通して人を知る」ことができるのが魅力のビブリオバトルとは何なのか?


 京都大学の研究室で生まれ、今や全国大会も催されることになったビブリオバトルの誕生秘話から遊び方まで、その全貌を描いた入門的一冊。書評は読むだけのものではなく、参加するもの。読書嫌いも本好きになること請け合いだ。情報が多いネット時代だからこその、新しい本との出会いを提案する。

(文藝春秋社公式サイトより)

げいむすきお
「本を誰かに薦める」という行為は割と難しい。タイトルを言った時点で興味を持ってくれればよいが、明らかに興味がなさそうだった時、その後どう話を続けていくべきか悩む。「ちょっと良かった」くらいであれば、タイトルを伝えたところで満足し、そこで引き返すだろう。一方、よほどのオススメであれば、内容にまで踏み込み、タイトルからはうかがい知れぬその本の良さを説明することになる。だが、あまり強く薦めると「読んでくれよ」という圧を感じさせてしまうのではないかと不安になる。「本を薦める」という行為は「その本を読むように勧める」ということだ。本の趣味は様々。私がいくら良かったと思っても皆がそう思うとは限らない。私の薦めで読んでみて、つまらなかったと感じたとしたら申し訳ない。1時間程度で読み終えられる短いものならまだしも、2時間、3時間とかかるものならそれだけの貴重な時間を奪ってよかったかどうか。読む読まないは自己責任とはいえ、多少なりとも心苦しく感じる。また、それとは別に「こんなつまらないものを面白いと思って読んだの?」と思われてしまうリスクもある。
 そんな心配をすることなく好きな本を薦めることができるシステム。それがビブリオバトルだ。

ビブリオバトルって何?

ビブリオは書籍を表すラテン語の接頭語であり、バトルは戦いを意味する。つまり、「本を使った戦い」というのが直訳だ。
 まず、参加者はコレと思った本を持ち寄る。その本の魅力を各々が五分で語り、自分が語る番以外は他の参加者の語りを聞く。参加者全員の語りが終わったら、一番読みたくなった本を決めて投票する。投票数が最も多かった本をチャンプ本とし、その発表をした人の勝ちとする。

 これがビブリオバトルの大まかな流れだ。

 どの本をプレゼンするかという所からビブリオバトルは始まっていて、どんな本を選び、どんなところを薦めるかでそのプレゼンターの人となりを知ることができることもビブリバトルの醍醐味だとこの本は説明する。

 それが副題の「本を知り人を知る書評ゲーム」につながっている。

 実際のルールを以下に示す。

ビブリバトル公式ルール

  1. 発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる.
  2. 順番に一人5分間で本を紹介する.
  3. それぞれの発表の後に参加者全員でその発表に関するディスカッションを2~3分行う.
  4. 全ての発表が終了した後に「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とした投票を参加者全員一票で行い,最多票を集めたものを『チャンプ本』とする.

『ビブリオバトル 本を知り人を知る書評ゲーム』はこんな内容

目次

はじめに ビブリオバトルって何?

プロローグ そんな日常の「ビブリオバトル」

第一章 ビブリオバトルの遊び方

第二章 ビブリオバトルはどうして生まれたのか?

第三章 本と出会い人を知るためのテクノロジー

第四章 広がるビブリオバトル

エピローグ いつか会えたら「ビブリオバトル」の話をしよう

あとがき

『ビブリオバトル 本を知り人を知る書評ゲーム 』目次

世の中には本を薦めたいと思っている人がいる。本を薦めてもらいたいと思っている人がいる。お互いのことを考えながら本を薦め合って、その場所にいる人や訪れた人が意外な本や、面白いと思える本に出会える場所があればいいのに、と思う人は多い“その一方”あらたまって、ほんの紹介などとなると堅苦しくなったりしそうだ“という不安があるため”ビブリオバトルというゲーム感覚の書評合戦が全国に広まってきている”と説明する。

ビブリオバトルの遊び方

step.1
誘う
 ビブリオバトルをするためには人がいる。参加者の募集、日程・場所の調整をしないといけない。最初は少人数の身内から輪を広げていくのが良い。場所も最初は友人宅や会議室のような身近の場所ですると良い。問題は参加者で、日本人は人前での発表を恥ずかしがる傾向があるため、興味があっても遠慮することが多い。ビブリオバトルを主催して遊ぶためにはそんな人を懐柔して参加させるような多少強引なくらいのリーダーシップがあった方が良い。
step2
本を選ぶ
 発表するための本を選ぶ。テーマを決めて本を選ぶ方式でもよいが、あまり縛りが強いと自由に選べなくなる。もし主催者がテーマを決めるなら緩いテーマの方が良い。テーマに合わせて好きでもない本を選んで、無理をして発表したところで、語りや質疑応答に熱が入らず盛り上がらない可能性が高い。
 一方、自由参加の人数が多いイベントの場合、どんな人が集まるか分からず何を紹介してよいかわからなくなるので、テーマを決めておいた方が本選びはしやすくなる。
STEP.2
発表
 発表時間は5分を絶対に使い切る。多くの場合はあらすじで3分程度は使う。初心者はそこで終わってしまいがちだが、あらすじだけでは本の魅力は伝わらないし、プレゼンターの個性が出ない。残り2分にこそ面白さがある。また、対面コミュニケーションに重点を置くため、原稿やレジュメは用意しない方が良い。
STEP.3
発表後の質疑応答
 発表後2~3分の時間を使って行う。批判はせず、投票の材料となることを聞く。場の空気をほぐし、発表者の言葉の理解を深める役割を持つからだ。
STEP.4
投票
 投票によって、みんなが一番読みたくなった本を決める。ここで勝ち負けを決めるのは、「バトルに勝つ」目的を持つことで、本選びや発表内容を考える際に相手が好むのはなにか、どういえば理解してもらえるか、と相手の立場に立った客観的な視点が加わる。もし勝ち負けがないと 一方的なトークになる可能性がある。
 勝敗を決めるのは参加者でなくてはならない。もし、投票する人間を少数の審査員にしてしまうととその少数に向けての発表になってしまう。

ビブリオバトルが生まれた背景

輪読会をしようとしたものの……

 有志が集まって一つのテーマについて学ぼうとするとき、輪読会を行うことがある。輪読会は、テーマに沿った本を一つ決めて、範囲を決めながらみんなで読み進めていく会で、流れとしては以下のようになる。

  1. 会合ごとに、読んでくる範囲と発表者を決める。
  2. 発表者は読んできた内容を要約し、レジュメやスライドを作ってわかりやすく説明する。
  3. 他の参加者はそれを聞いて内容を復習したり、発表者と議論したりする。

 一人で読むよりも深い理解を得ようとするというのが目的だ。この方法は一見良いようだが、問題点もあった。

「輪読会」が持つ4つの問題点

  1. 参加者は輪読会開始時にはその本を読んでおらず、その本が読むに値するかどうかわからない。輪読会が終わり全部読み終えた段階で良書ではなかったとわかることがある。
  2. 読んでこなくても発表を聞けば内容が理解できるため、自分が発表するところだけを読むようになる。
  3. 発表者自身が準備不足で理解が足りていないと、聞いている方も理解できない。その結果、無駄な時間になる。
  4. 準備してきた原稿を読むだけになり、聞いている方は眠くなる。

4つの問題点を解決するために

  1. に対して、参加者全員が各々で読むべき本を探してくるようにする。
  2. に対して、参加者全員が発表をする。
  3. に対して、発表時間を5分と制限する。
  4. に対して、原稿の準備を原則的に禁止する。

  4つの問題点を解決した読書会がビブリオバトルの原型となった。

ビブリオバトルの効能

 作者は「いい本」を探す方法を、使う情報の種類によって5つに分け、その5つと比較しビブリオバトルがどういう位置づけになるかを示す。

「いい本」と出会う5つの方法

  1. 権威・人気 :誰かが書いた書評や売り上げランキングなどを参考にして読む。
  2. ディレクトリ構造:同じ分類項目にジャンル分けされている本を読む。
  3. キーワード検索:読みたい本に関連するキーワードで検索して読む。
  4. 協調フィルタリング:Amazonなどの販売サイトが、閲覧履歴、購入履歴から同様の傾向を持つ人が他にどういった本を読んでいるかを分析して薦めてくる本を読む。
  5. ソーシャルメディア:自分が興味を持つコミュニティの他のメンバーが薦める本を読む。

 上から順に、薦める人と薦められる人との距離が近くなっていく。

ビブリオバトルによる本の推薦

 ビブリオバトルでは、ソーシャルメディアの「他のメンバー」に当たる発表者が、協調フィルタリングの「販売サイト」のようにあなたが好む本の傾向を考えてくれる。
 実空間で人間関係がある人からの薦めであるため、ソーシャルメディアよりも近くに感じられる。
 協調フィルタリングはあくまでもこれまで読んできた本から傾向をみるものであるが、ビブリオバトルはそこから一歩進んで、興味を推察しながらも発表者自身の経験を元に推薦する。
 現実に目の前の人間が薦めてくる形であるため、ディレクトリ構造キーワード検索よりも、選ばれる本のジャンルやキーワードの範囲が広くなる。

 結果として、ビブリオバトルによる本の推薦は、上記のどれよりも多様性に幅があり、説得力のあるものとなる。

ビブリオバトルにより人を知る

書籍は本来、著者の考えを読者に伝えるメディア“であるが、それと同時に”読者の考えを読者に伝えるメディア“にもなると作者は言う。ビブリオバトルにより”発表者の考え方や解釈、人となりを参加者みんなに伝えるメディア“としても働くという考えだ。従来の「書評」も”自分が「どういう解釈をする人間なのか?」「自分がどういう考え方をする人間なのか?」「自分がどういう文脈に身を置く人間なのか?」をさらけ出す“ものであり、ビブリオバトルも当然その性質を持っている。

 本を紹介するということは、自分自身を紹介することにつながるため、作者はビブリオバトルについて”表面上の姿が本好きの読書会の姿をしているために「人を通して本を知る」側面ばかりが着目されがちであるが、「本を通して人を知る」というコミュニケーションの場づくりの側面こそビブリオバトルの本質である“とまとめる。

広がるビブリオバトル

 大学の勉強会の手段として生まれたビブリオバトルは、研究室やサークルなどの比較的閉じたコミュニティでの開催から、「企業が社員研修会や新人教育の際に開催」「小中学校で教育のために開催」というような利用者の広がりを見せるとともに、「オープンな場所でイベントとして開催」というような規模の広がりも見せた。

 書店の窓際で開催し、店の前を通る人でも自由に観覧出来るようしたところ、80人くらいの観客ができた。そこからさらに大規模化し、トーナメント方式で50人近い発表者が数グループに分かれて競い合い、各グループで勝ち残った計5名が400名以上の観客の前で発表し、観客全員にチャンプ本を決めてもらうイベントまでできた。

 最終的には各都道府県で予選、勝者が東京で首都決戦という全国レベルの大会となった。

第三のビブリオバトル

 コミュニティ型、イベント型のビブリオバトルに続き、ワークショップ型のビブリオバトルというものもある。
 参加者が30人の例だと、まず、6人ずつ5グループに分かれて、ビブリオバトルを行う。終わると、メンバーをシャッフルし、同じ本を使ってもう一度ビブリオバトルを行う。この2回目のビブリオバトルでチャンプ本に選ばれた発表者が、全員の前で3回目のビブリオバトルを行い、最終的なチャンプ本を決める。
 みんなのリアクションや投票結果をフィードバックして、すぐにスピーチをブラッシュアップする必要があるため、「人を通して本を知る。本を通して人を知る」効果に加えて、スピーチ力やコミュニケーション力を高める効果がある。

書評のフットサル

 作者自身は”ビブリオバトルのライバルはフットサルです“と話すそうだ。そこには3つのメッセージがある。

  • ビブリオバトルはゲーム、もしくはスポーツである。
  • フットサルのように気軽に遊んでほしい。
  • フットサルのような普通名詞でありたい。

 最後の意味は”ビブリオバトルは、まだ固有名詞的であり、何か特殊なゲーム、特殊なイベントの名称だと思われている節がある。多分、英語で書かれるときには頭文字は大文字になりBibliobattleになるだろう。サッカーはsoccerでありテニスはtennisだ。ビブリオバトルもいつかbibliobattleになりたい。“とのことだ。

「プロローグ」と「エピローグ」

 ビブリオバトルがどういう場面でどう活用されるか、説明書きだけでは伝わらない「ビブリオバトルを包む雰囲気」と呼べるようなものを、架空の団体、架空の人物を使って、ライトノベルで表現している。
 人様が頑張って書いているものに対してあれこれ言いたくはないし、「それならお前は一体どんなものが書けるんだ」と言われると「申し訳ありません」と返す言葉もなくなってしまうが、それでもあえて書くと「これ本当にいる?」というのが正直な感想だ。

 決して文章が下手なわけではなく、寒い表現を使っているわけでもない。舞台となる場所、人間関係もきっちり描けている。話の流れに矛盾はなく、滞りなく物語が展開されていく。でも、絶望的につまらない。いかにも「理系の人間が書いた小説です」という印象だ。わかりやすいけど、つまらない。「仲の良い知り合いばかりの大学内でならこんな風に楽しそうにやれるよ」「自己紹介代わりに使えば仕事を円滑に進めるのにも役立てられるよ」「だけど、なかなか職場に導入するのは難しいよね」というストーリー。小学生向けの「漫画でわかる算数」みたいなもので、説明書きにするとそもそも見もしないから読みやすい形式を使って説明をする、ということなのかもしれないが、それよりも単なる著者の趣味の可能性が高いと思う。

まとめ

ビブリオバトルの機能

  • 参加者で本の内容を共有できる(書籍情報共有機能)
  • スピーチの訓練になる(スピーチ能力向上機能)
  • いい本が見つかる(良書探索機能)
  • お互いの理解が深まる(コミュニティ開発機能)

公式ルール&補足

  1. 発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる.
    1. 他人が推薦したものでもかまわないが,必ず発表者自身が選ぶこと.
    2. それぞれの開催でテーマを設定することは問題ない.
  2. 順番に一人5分間で本を紹介する.
    1. 5分が過ぎた時点でタイムアップとし発表を終了する.
    2. 原則レジュメやプレゼン資料の配布等はせず,できるだけライブ感をもって発表する.
    3. 発表者は必ず5分間を使い切る.
  3. それぞれの発表の後に参加者全員でその発表に関するディスカッションを2~3分行う.
    1. 発表内容の揚げ足をとったり,批判をするようなことはせず,発表内容でわからなかった点の追加説明や,「どの本を一番読みたくなったか?」の判断を後でするための材料をきく.
    2. 全参加者がその場が楽しい場となるように配慮する.
    3. 質問応答が途中の場合などに関しては,ディスカッションの時間を多少延長しても構わないが,当初の制限時間を大幅に超えないように運営すること.
  4. 全ての発表が終了した後に「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とした投票を参加者全員一票で行い,最多票を集めたものを『チャンプ本』とする.
    1. 自分の紹介した本には投票せず,紹介者も他の発表者の本に投票する.
    2. チャンプ本は参加者全員の投票で民主的に決定され,教員や司会者,審査員といった少数権力者により決定されてはならない.

 参加者は発表参加者,聴講参加者よりなる.全参加者という場合にはこれらすべてを指す.
【推奨事項】
 発表の様子は動画にとりUSTREAMやYouTubeにアップロードして、あとからでもみんなが見られるようにする。

明文化されていない実質的なルール

 レジュメを読み上げるだけの発表を禁止していないが、そのような発表はそもそもチャンプ本に選ばれることはないと考えているため、あえてルールでは縛らない。

公式サイト

参考 知的書評合戦ビブリオバトル公式サイトビブリオバトル普及委員会事務局
げいむすきお
 ブログは一方通行で、相手の反応を見ることは出来ない。それどころか相手がそれを読んでいるのかどうかすらわからない。それがデメリットだと思う人もいるだろうが、私はメリットだと思っている。「ブログを読んだよ」と言われても「どうだった?」とは聞かない。「読んでくれてありがとう」で終わらせる。感想を聞くと、褒めた上でその本を読んでみないといけないという空気になるからだ。紹介した本を誰かに読んで欲しいと思うからこそブログを書いているので、興味を持って読んでくれるなら嬉しいが、私から読めという圧を感じて、興味を持てない読みたくもない本を読んで、読んでもやはり趣味が合わずに3時間を無駄にしてしまったとしたら、私は責任をとれない。例え、何かしらの方法で責任が取れたとしても何の責任もとる気はないが、騙しやがってと恨まれたくはない。幸い「読んだよ」と言ってくれるような知り合いはいないので、そういった問題はおこりそうにないのが救いだ。
 その点、ビブリオバトルであれば「勝つためだから」という大義名分があるため、読めよという圧を与えず、いくらでも好きなだけ本の紹介をすることが出来る。ただ、私自身がビブリオバトルをすることはないだろう。友達がいない(ビブリオバトルをするような友達がいないという意味ではなく、友達そのものがいない)し、かといって、知らない人の前でレジュメなしに発表するのは苦手だからだ。

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