「マイタウンが欲しい」と言いつつも、最近はあまり金儲けに身が入らずにいる。
と、いうのも今の住宅村の丁目が気に入っているため、この丁目を捨てたくないという思いが、全ての足を引っ張るのである。「金儲けを頑張ろう」「いや、しかし、金が貯まったところで本当に引っ越すであろうか」「少し考えよう」この繰り返しである。
金はいくらあっても困らぬものであるから、とりあえず貯め、その後「やっぱりマイタウンはいらない」となったら、他に欲しいものが出来た時のために残しておけば良い、という話であるが、こんなモチベーションの低い状態では2億という大金はとても貯まりそうにないのである。
過去の家
吾輩はもともとジュレット住宅村未開のジャングル地区の奥地に居を構えておった。このげいむすきお伝(種本)でも書いたことがある。
未開のジャングルに突如出現した謎のダンジョンそこに数年住んでおったのであるが、ある時急に引っ越しをしたくなった。「暗くじめじめしたジャングルで、教会も宿屋もない地区の、バザーや預かり所が遠い番地の狭い土地」であったため色々不便であった。そこで「明るくからっとした草原で、教会や宿屋のある地区の、バザーや預かり所が近い番地の広い土地」で便利に暮らしたいと思ったのである。
新しい家の候補
これにすべて当てはまる場所として候補に上がったのは、グレン住宅村の草原地区6番地であった。
今でこそ、他に好条件な土地が増え、草原地区6番地の空きもかなり増えてきておるのであるが、昔はグレン住宅村の草原地区6番地と言えば、一種のブランドであった。レンダーヒルズが開放されたあとも人気は衰えず、住宅村拡張の際には、一番に売り切れたものである。
そんな中、一ヶ所だけ6番地が空いていた。しかも、覚えやすい丁目だ。
なぜこんな良いところが空いておるのか。事故物件であろうか。新興宗教の本尊か何かがあって、邪竜復活のため、何人もの若い娘がここで生贄となり、血が染み付いておるとか……。
例え、そうであったとしてはも吾輩はそんなことは一向に気にせぬ。行く先々でそういう経験をしておるのである。勇者とはそういうものである。勇者とはいわば歩く事故物件である。過去に何があったとしてもお互い様である。
縁起の良い丁目
しかも、その丁目は覚えやすいだけではない。縁起の良い数字の並びでもあった。
その数字とは4219である。4219丁目の6番地が空いておったのである。
こんな覚えやすくて、縁起が良さそうな土地が空いておるとはラッキーである。運命と言っても良かろう。
早速買おうと現金を持ってその土地を訪ねると、10万ゴールドでの販売であった。M土地は、250万ゴールドから始まって6時間ごとに2万5千ゴールドずつ下がっていく。つまり、この土地が空いてから24日間以上の時が過ぎておるのである。
他の土地が全て売り切れておる中、この土地だけが24日間以上売れ残っておったのである。
「これは奇跡である。吾輩にぴったりの語呂合わせの丁目が、吾輩に見つけられるまでずっと残っていたのである。これは吾輩に買われるために残っておったに違いない」
迷わず即金で土地を買い、すぐに引っ越した。
今の家
全くもって吾輩にぴったりの丁目である。
4・2・1・9
よ・に・い・く
世・に・行・く
無名の勇者げいむすきおがついに世に出て行くイメージである。冒険の旅に出て7年。ついに世に出るというのである。
これ以上吾輩にあった丁目はなかろう。それが吾輩に買われるためにけなげに待っておったのである。
そんな経緯、そんな思いで手に入れたこの丁目であるため、それを捨ててマイタウンに引っ越して良いものかどうかと悩んでおるのである。