【ランガーオ村の王者】第1話 194.雪山の捜索

注意事項
  • タイトルクエストのネタバレを含みます。
  • NPCのセリフは全て原作そのままで、削ったり付け足したりしていません。
  • NPCの立ち振る舞いは全て原作準拠ですが、動画を文章に起こしている形であるためげいむすきおの主観が大いに入っています。
ランガーオ村の王者
194.雪山の捜索
  • 受注条件賢者ホーローに会ったことがある
  • 場所ランガーオ村(オーグリード大陸)
  • 依頼主ギュラン

げいむすきお

ランガーオ村で、村王クリフゲーンの側近であるギュランが困っておったので相談にのったのである。詳細を知りたい者のみ読み進めるとよいのである。

ランガーオ村の王者 第1話 雪山の捜索

 それはランガーオの村に初めて立ち寄った時のことである。

 ランガーオにつくと「まずは長に挨拶をせねばならぬ」と長の家を探した。グレンやガートラントのような都会ならいざ知らず、住人全部が顔見知りであるような小さな村では、その場所のトップに身元を保証してもらっておく事は大切である。長のお墨付きがあるとなれば、村の中を無駄に歩き回られたり、家の奥まで勝手に入り込んでこられたりしたとしても、そうそう邪険にはしにくかろう。

 そもそもの話として、それ位のことが気になるような繊細な心を、五臓六腑まで筋肉で出来ている戦いの民たるオーガ達が持っているのかどうかは不確かではあるが、念のためというやつである。

 少し村を歩くとオーガの男が「ここは武闘大会の名誉チャンピオン村王クリフゲーンさまのお住まいだ」と教えてくれた。

 村王クリフゲーンさま!

 なんと強そうな名前であろうか。村王という役職も強そうであれば、クリフゲーンという名前もまた強そうである。さすが戦いの民と言えよう。

 そういえば、これまでに知り合ったオーガ達の名前もみな強そうであった。

 ジーガンフ、アロルド、ストロング団長、ズーボー……。

「ジーガンフ」はいかにも強そうである。
「アロルド」は強さの中にスマートさも秘めていそうな響きである。
「ストロング団長」は正にそのものである。
「ズーボー」は……ズーボーは他のゴツゴツした感じの名前と比べると少しばかりなんというかぬるっとした感じであるな。

 中に入るとすぐにまたオーガが一人立っており「ここは村王さまの部屋。村王さまは過去の武闘大会でいく度もチャンピオンになられたお方なのだ」と、教えてくれた。

 随分と武闘大会のチャンピオンであることをおしてくるであるな。

 吾輩はカバンに手を突っ込み「冒険の書」がすぐに取り出せる位置にあることを確認する。
 吾輩の身分を証明する唯一のものであり、何か言われるようならすぐに見せるつもりだった。
 が、特に何も言われることはなく、すんなりと中に入れてもらえた。

 「村王さまの部屋」に入ると、若いオーガと子供のオーガとが何やら不安げな面持ちでゴソゴソと話し合っておる。

若いオーガと子供のオーガ

 声をかけようとしたところ「そ、村王……! お戻りか!?」と、若いオーガがこちらを向く。

「ちがったか……。お前は、旅の者だな。ふむ。げいむすきおというのか。じつは、このランガーオ村の村王であるクリフゲーンさまが、帰りの遅い村人を探しに雪山に行ったまま、戻ってこないのだ」

 なんだ。村王はおらぬのではないか。村王が武闘大会のチャンピオンであったかどうかよりも、村王が家にいるかいないかをまず教えてほしかったのである。

「村王はお父さんを探しに行ったの! お父さんが帰ってこないのって私が言ったら、すぐに連れ戻してくるからお前は心配しないで待ってろ、ガハハって……」

 なるほど、それは心配であるな、と思いつつもここで何か言うと確実に面倒なことを頼まれる。吾輩は黙っていた。

子供のオーガ

 オーガ女子からの無言の圧力に耐え切れなくなりそうになったところで若者が口を開いた。

「村の者が雪山から戻らないときに、村王が捜索にいくのはよくあることだが、これほど帰りが遅いのははじめてなのだ。考えたくはないが……村王の身に何かあったのかもしれん。すまないが村王を探しに、雪山に行ってくれないか!?」

 ついに言われてしまった。勇者げいむすきおとしては、そこまで言われてしまっては受けないわけにもいかぬ。それがたとえどんなに面倒そうだと思ったとしてもである。
 探しにいってもよいことを伝えるとオーガの若者――ギュランは心底ほっとした顔をした。

「おおっ。本当か! 恩に着るぞ!」

 ただ、雪山といっても広い。せめてどの方面に行ったかでも分かればやりやすいが……

「お父さんは今日はラギ雪原の方に行くって行ってました。町で売れる素材を採るんだって……」

 作物も育たなさそうな、食料になる獣も少なそうなこんな雪山でどうやって生計を立てておるのかと思っておったら、そんなことをしておったのであるな。
 ラギ雪原で採れる素材というと「ぎんのこうせき」「かがやきそう」「まんねん雪」「ホワイトウッド」「氷の樹木」といったところか。大儲けは出来ぬにしても、日々の暮らしを支えていく位なら十分なのだろう。

「村王にもそう伝えたから、そっちの方に行けば、きっとふたりに会えるはずです!」

 そこにギュランが女の子の言葉を補強する。

「ラギ雪原はランガーオ山地の東端から北へ抜けた所にある厳しい雪原だ」

 ラギ雪原は吾輩もいったことがある。遭難したとしても、仕方がないくらいの豪雪地帯だ。生活のためとはいえそんな所で素材集めとは大変であるな。

「そこへ行くならこれを持っていってくれ」

ヌーク草を渡される

 ギュランにヌーク草とやらを渡された。

 なんであろうか?

「それは雪山で体力をうばわれぬよう身体をあたためるための薬草の一種だ。もしも村王やフウミの父親が寒さで弱っていたら、それを食べさせてくれ。よろしく頼んだぞ」

 そういうことであったか。そして、この子の名はフウミというのであるな。しかと頼まれたである! 頑張って探してくるのである!

「げいむすきおさん! お父さんと村王のことをよろしくお願いします!」

 こうして吾輩はラギ雪原に向かった。向かう途中、ヌーク草をかじってみたのだが、かじるとすぐに身体がポカポカと温まってきたような気がした。確かにこれは良いものである。

 ランガーオ山地からラギ雪原へ抜けると、吹き荒ぶ雪の中にオーガが二人いた。一人は座る体力すらないのか、冷たい雪の上に体を投げだしており、もう一人は倒れたオーガを見守るようにすぐそばに腰をおろしている。

 おそらくこの二人が村王クリフゲーンとフウミの父親であろう、と見当をつける。

二人のオーガ

 座っている方がすぐに吾輩に気付いた。

「お…お前は……」

 寒さに体力を奪われたせいか、息も絶え絶えである。

「わしを助けにきたのか……」

 その通りである。

「……目を覚ませクーガ。どうやら神さまはまだわしらを死なせてくれんらしいぞ」

 しかし、クーガからの返事はない。

「いかんな……。寒さで意識を失ってしまっている。何か身体をあたためる物があればよいのだが……」

『なにか身体をあたためる物があればよいのだが……』。その言葉に違和感を感じた。その違和感の正体を突き止めるため、二人をじっくりと眺める。

オーガをよく見ると

 すぐにその違和感の正体はわかった。『身体をあたためる物』が少なすぎるのである! クーガはともかく村王はクーガを探しにきたのであろう! なぜそんな前全開で、胸筋、腹筋を見せつけておるのであるか!
 ツッコミたい気持ちはやまやまだったが、ここまで露骨にボケてこられると、ツッコんだら負けなのではないか、とも思えてしまう。
 ここは何事もなかったようにヌーク草を渡せばよいのであろうか。それとも一応形だけでも服装についてツッコんでおいた方がよいのであろうか。

「お前は村から来たのだろう? だったらランガーオの村の者から何かあずかってはいないか?」

 迷っていると急かされてしまった。とりあえず、吾輩の葛藤はおいておいてギュランに頼まれたヌーク草を村王に手渡す。

「おお、ヌーク草をもってきてくれたか! よし! これさえあれば」

 村王は受け取ったヌーク草をまずクーガに食べさせようとする。

「さあ、クーガ。これを食べるんだ」

 村王はヌーク草をクーガの口に無理やり詰め込んだ。

「……………………」

 反応がない? ……かと思いきや突然むっくりと起き上がり奇声を発する。

叫ぶオーガ

「うっはあああああ~~~~っ!!」

 元気にはなった。それはそれで良いが……元気すぎて逆に不安になる。この極寒の中、半裸で奇声は危険である。寒さを感じなくなっただけではなく、痛み、苦しみ、悲しみなどもすべてを感じなくなってしまうような草なのではないか、という懸念が生まれる。

「さすが、効果絶大だな。よし、わしもひとクチいただこう」
「いやあ、ありがとうございました。おかげで、血が沸き立つくらい全身ポカポカです。これなら村まで帰れます!」
「村王も、ありがとうございました。もし、村王が岩陰に運んでくれなかったら、今頃、凍え死んでいたかもしれません……」
「ガハハ! わしに、礼はいらん! わしも、寒さに体力をうばわれて、ここまで運ぶのが精一杯だったのだ」
「ヌーク草も持たずに雪山にくるとはわしもうかつだったわ。いや、それより……」

 二人のやり取りを黙って聞いておったが、ついにきたであるか。『いや、それよりも……』。そう。ヌーク草云々ではなく、服装がまずおかしいのである!

 吾輩がツッコまないため、自分で話題に出してきたようだ。『いや、それより……』に続く言葉はそういった内容であろうと想像する。

「このわしが雪山で動けなくなる日が来るとは……。いやいや。そんなこと言ってる場合ではない。ヌーク草の効果が切れる前にわしらも村に戻るとしよう!」

 そこであるか! 服装のことは!
 こうなったら意地でもツッコまぬのである。

「ガハハ! げいむすきおよ! お前には、礼をせねばな! 村に戻ったらわしの家まで来てくれ!」

 そして二人は村へと帰っていった。
 服装に関しては結局触れずじまいであったな。不完全燃焼な気持ちを少しばかり残しつつ、吾輩も村に帰ったのである。

「おっ、げいむすきお、戻ったか! ガハハ! 待っていたぞ!」

 村王の部屋に行くと、村王、ギュラン、フウミ、クーガと勢ぞろいしていた。

親子と村王と側近

「お前が村に来てくれて助かった! もし、お前がいなかったらと思うとぞっとするぞ! ガハハハ!」
「げいむすきおさん、ありがとうございました。おかげでお父さんも村王も無事に帰ってきてくれました」
「採取の帰りに急に吹雪が強くなりまして……。雪山には慣れているつもりだったのですが、まったく面目ありません」
「まあ、みんな無事でなによりだ! そうだ、ギュラン。忘れないうちにあれをげいむすきおに渡してくれ」
「これは私と村王からの心ばかりのお礼だ。受け取ってくれ」

 ギュランがぎんのこうせきをくれた。クーガがラギ雪原でとってきたやつであろうか? ありがたくもらっておくことにする。

「では、私たちはこれで」
「げいむすきおさん! 今度うちにも遊びにきてくださいね!」

 フウミとクーガは帰っていった。吾輩もそろそろ帰りたい。

「今、この村の若くて強い連中はみんな修行の旅に出ている。その間くらいはしっかり村を守ろうと思ったのだが……」

 ガートラントで知り合ったランガーオ村出身のオーガ達を思い浮かべる。マイユ、ジーガンフ、アロルド……確かに彼女らがいたなら、村王が隠居しても問題なかろう。

「……わしもトシをとったということか。どうやら、もう、若い頃と同じようにはいかんようだ……」

 最後に少ししんみりしてしまったであるが、村王もフウミの父親も無事帰ってきて、めでたしめでたしである。

 それでは帰ろう。

「そういえば村王。村王が村を離れておいる間にこんな手紙が届いておりましたぞ」
「おお。わしにか? わしに手紙などめずらしいな」

『そういえば』ではない! なぜこのタイミングで手紙を出してくるのであるか。そういうことは吾輩が帰ってからやってほしいのである。

手紙を読む村王

「そうか。あいつが来るか……。きっと……強くなったのだろうな」

 これ見よがしになにを……と思いつつも、吾輩は大人であるため、口にはださぬ。変なことに巻き込まれても面倒であるため、聞こえなかったふりをしてそのまま部屋を出たのである。

ランガーオ村の王者

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