2019年5月の月間ベストセラー(日販調べ)

[prpsay img=”http://gamesukio.com/books/wp-content/uploads/2019/04/IMG_4369.png” name=”げいむすきお”] 2019年5月の月間ベストセラー(日本出版販売株式会社調べ)。おしりたんていの最新刊が堂々の1位。4月の後半(4月20日)の発売だったためか、4月のランキングでは5位だったが、今月は樹木希林と瀬尾まいこを一気に抜いてトップに躍り出た。しかも、4位には4月26日に公開された映画の原作である前巻「おしりたんてい カレーなるじけん」もランクインしている。
 おしりたんていは顔がお尻になっていて、一見すると少しだけふざけているように見える。しかし、必殺技は「顔部分にあるおしりのその割れ目から黄色くて臭い気体を吹き出す」というものであって、設定はかなりの部分ふざけている。「でも」なのか「だからこそ」なのか子供には大人気。顔がぷるんとして可愛いく、性格はレディーや子供に優しく、悪人には厳しいという紳士そのもの。ミステリマガジン 2018年 07 月号で特集が組まれるくらいに、ミステリファンも無視できない存在。[/prpsay] [toc][toc label=”2019年5月の月間ベストセラー(日販調べ)”]

01位『おしりたんてい かいとうとねらわれたはなよめ』トロル

 トロル作・絵の児童書の第9弾。もともとおしりたんていは、小さい子でも楽しめるような絵本で始まったシリーズ。そこに幼稚園年長から小学校低学年向けの読み物としてのバリエーションが出来た。それがこのシリーズ。1巻「むらさきふじんのあんごうじけん」から数えて9巻目。
 電子書籍派の私ではあるが、子供が読む本はさすがに紙の本を選ぶと思う。子供が自分のスマホを持つくらいになったら、電子書籍を薦めるだろう。

02位『一切なりゆき 樹木希林のことば』樹木希林

 2018年9月15日に他界された女優樹木希林の生前の言葉を集めた新書。2018年12月20日に発売して以降、1月、2月、3月、4月とずっと1位だったのがついに陥落。樹木希林対おしりたんていという他のジャンルでは見ることができないであろう対決となった。

03位『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ

  瀬尾まいこ著の小説。2019年本屋大賞受賞作品。主人公の森宮優子は高校三年生。事故で母を亡くしたことに始まり、親の再婚、離婚で7回も家族の形態が変わってしまっている。だけど不幸ではないと言い切る。それはいつも近くに愛してくれる人がいるからだ。
 読もう、読もうと思いつつ、まだ読んでいない。月間ベストセラー本1冊と、好きな本1冊と、毎月2冊位は読みたいと思っている。

04位『おしりたんてい カレーなるじけん』トロル

 トロル作・絵の児童書の第8弾。この本を原作とする映画が2019年4月26日に公開された。 おそらくその影響で買われているのだろうと思われる。映画は、29年ぶりに復活した東映の子ども向け映画興行「東映まんがまつり」で上映される4作品の1作。ちなみに残り3作品は 「爆釣バーハンター」「うちの3姉妹」「りさいくるずー」 。3作品の原作だって人気はあるが、月間ベストセラーには入ってきていないので、いかにおしりたんていが人気なのかということが良く分かる。

05位『名探偵コナン 紺青の拳』水稀しま

 水稀しま著。アニメ映画を子供向けにノベライズした児童書。原作に当たる漫画『名探偵コナン』の作者は青山剛昌。映画『紺青の拳』の脚本は推理作家大倉崇裕。映画の公開日は2019年4月12日。キャッチコピーは「Never let you go… “もう決して、あなたを離しません──”」「真実VS奇術VS蹴撃 雌雄を決する三位一体(トリニティ)バトルミステリー」。
 著者の水稀しまは劇場版名探偵コナンの児童向けノベライズを他にも何作も手掛けているベテラン。名探偵コナン以外では『怪盗グルーの月泥棒3D』や『逆転裁判』『ポケットモンスター』の劇場版を児童向けにノベライズしている。

06位『樹木希林 120の遺言』樹木希林

 2位の『一切なりゆき 樹木希林のことば』と同じく女優樹木希林の生前の言葉を集めた書籍だが、一切なりゆきが新書なのに対し、こっちはハードカバーという違いがある。売上の少ない方ですらまだ6位にいる位だから、この調子だとあと数か月は樹木希林がランキングに顔を出していそう。

07位『妻のトリセツ』黒川伊保子

 黒川伊保子著の実用書。黒川伊保子は、奈良女子大学理学部物理学科を卒業後、株式会社富士通ソーシアルサイエンスラボラトリに14年勤務してAI(人工知能)の研究を行っていたいわゆるリケジョ。AIの研究が脳とことばの研究へとつながり、それが男女の脳の違いからくる行き違いを補正するこの本となる。この本では”脳科学をベースに男女脳の違いからくる夫婦のすれ違いを紐解き、奥様の考えていることや行動の理由をズバリと解析。それに対してどのような言動をとれば、奥様にとって最愛の夫でい続けることができるのかという具体的な作戦を提示“するとのこと。
 2018年10月発売だが、2019年1月のランキングにその名はなく、2月のランキングから3月、4月、5月とランキングの常連となっている。1月18日に日本テレビ『スッキリ』 で紹介されてからだと思われる。

08位『メモの魔力』前田裕二

 前田裕二著の実用書。”誰にでもできるけど、誰もまだ、その魔力に気付いてない「本当のメモの世界」へ、ようこそ” とのこと。メモといっても付箋に書くような簡単なものではなく、ノートを見開きに使って、まず左のページに具体的な出来事を書く、右ページはさらに右と左にわけ、左に左ページに書いた出来事を抽象化して書いて、右にはその抽象化したものを転用して新たなアイデアを書く、ということらしい。何かしらの出来事を、抽象化して、他のことに生かせないかと考えるためのノウハウ。
 中身よりもSHOWROOM株式会社代表取締役社長という著者の肩書で売れているのではないかと思わなくもない。

09位『きのう何食べた? ~シロさんの簡単レシピ~』講談社

きのう何食べた?』はよしながふみ著の人気漫画。その人気漫画が西島秀俊内野聖陽のダブル主演でドラマ化した。これはそのオフィシャルブックとして、ドラマガイドや、劇中に登場する料理レシピを収録した一冊。
 あくまでも”公式ガイド&レシピ”であって、レシピ集ではないようだ。ドラマが好きな人なら満足できるが、レシピ集のつもりで買うと期待外れだと思ってしまうだろう。よしながふみへのインタビュー 記事も載っており、ドラマよりとはいえ、原作ファンも楽しめる構成。

10位『FACTFULNESS』ハンスロスリング

 ハンス・ロスリングオーラ・ロスリングアンナ・ロスリング・ロンランド著の実用書。サブタイトルは『10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』。著者のハンス・ロスリングはスウェーデン・ウプサラ市出身の医師、公衆衛生学者。オーラ・ロスリングはその息子で、アンナ・ロスリング・ロンランドはその息子の妻だ。スウェーデンでは結婚した際に姓をどうするかについて3つの選択肢がある。1.二人ともが同じ姓を名乗る(夫の姓か妻の姓か、どちらかに揃える。日本と同じ)、2.二人とも今までの姓のまま(夫婦別姓)、3.片方は今までの姓のまま、もう片方は相手の姓をミドルネームにする(両方がミドルネームをつけるのは不可)、の3つだ。オーラアンナ夫妻は、3を選択し、夫がこれまで通りの姓で、妻は夫の姓をミドルネームとした。 スウェーデンの結婚制度の話は、アンナ・ロスリング・ロンランドという名前が気になったから調べただけで、この本の内容とは一切関係ない。
 出版元である日経BP社のサイトにあるこの本の内容紹介を読むと、バラク・オバマ元アメリカ大統領が「思い込みではなく、事実をもとに行動すれば、人類はもっと前に進める。そんな希望を抱かせてくれる本」と言って大絶賛したとあるが、どの段階で言ったのだろう。大統領になる前に言った言葉なら良いが、大統領になってから言ったのだとしたら、大統領の任期中もこの本を読むまでは「事実ではなく、思い込みをもとに行動していた。人類はもう前に進めないし、もっと前に進めるんだという希望すら持っていなかった」ということにならないだろうか。後半はそう思っていたとしてもよいが、前半はひどくないだろうか。それとも「(自分はもともとそうしていたので関係ないが、人類全体が)思い込みではなく、事実をもとに行動すれば、人類はもっと前に進める。そんな希望を抱かせてくれる本」ということだろうか。つまり、「人類全体が、事実ではなく、思い込みをもとに行動している」ということに気付かせてくれた本だから大絶賛しているということだろうか。ただ、そうなるとそんなことを気付かせてくれたところで何の役に立つのかという疑問が生まれる。「なぜ人類はもっと前に進めないのか」と悩んでいる人がいるなら、疑問が解けてすっきりした気分になれるのかもしれないが、そんなことを気にする人が沢山いるとは思えない。確かにオバマ元大統領レベルになれば、人類がなぜもっと前に進めないのかと、絶望していた可能性はあるかもしれないが、大体において、多くの人はそれよりももっと仕事や家庭のことのような身近なことを気にかけているだろう。
 この本には何が書かれているのか気になってきた。

最後に

[prpsay img=”http://gamesukio.com/books/wp-content/uploads/2019/04/IMG_4369.png” name=”げいむすきお”]『妻のトリセツ』が最初にランキング入りしたのはテレビの影響が大きそうだが、そこから常連化したのはSNSを含むネットの影響が大きいのではないだろうか。
 テレビの影響だけでは、放映日とその次の月位は売れてもそこから続かないだろう。ネットの情報を参考にしながら、紙の書籍を買うような人が『妻のトリセツ』の主な購買層なのだろうと勝手な推察をする。ただ、「察してほしい女」「言わなきゃわからない男」というテーマは、ネットのあちこちで度々話題にあがるので、ネットの情報を参考にはするが、それほどはまりこんではいない層だろうと思われる。[/prpsay]

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