2019年9月の月間ベストセラー(日販調べ)

げいむすきお
 2019年9月の月間ベストセラー(日本出版販売株式会社調べ)。
 出版業界的に特に盛り上がるような出来事がなかった9月。 2019年9月15日に亡くなって1年となる樹木希林の書籍が上昇してきている。

01位『おしりたんてい ラッキーキャットはだれのてに!』トロル

 トロル作・絵の児童書の第10弾。8月22日発売。表題作「ラッキーキャットはだれのてに!」と「おもいでの まねきねこ」の2話収録。
 ラッキーキャットは、おしりたんていの事務所があるビルの一階にあるカフェの名前。そのラッキーキャットが舞台のお話。表紙にはおしりたんてい、ブラウンのわきに、妙に色っぽい恰好をしたすずと、マフィアのボスのような姿をしたマスターが描かれている。

 半年毎の出版ペースだと、前作がランキングからいなくなるくらいに新作が出て、ずっと人目に触れ続けることになる。かいけつゾロリも半年ごとの出版だし、そういうものなんだろうな。

02位『一切なりゆき 樹木希林のことば』樹木希林

 2018年9月15日に他界された女優樹木希林の生前の言葉を集めた新書。亡くなってから一年ということで、話題にあがり、その影響で売れているのか、たまたま他に売れる本がなかったからなのか、8月には6位まで下がっていたのに、再度ここまで上がってきた。

03位『日向坂46ファースト写真集 立ち漕ぎ』日向坂46

 日向坂46のファースト写真集。タイトルは「立ち漕ぎ」。立ち漕ぎと言えば自転車がまず思い浮かぶ。若い子たちが友達同士で連れだって、立ち漕ぎをして頑張って目的地を目指して疾走しているイメージなのだろうか。他にはブランコにも立ち漕ぎがある。それなら、大人側と子供側とを、楽しみながら行ったり来たりしているというイメージか。最終的に大人側にぽんと飛び出していくその日まで。
 真剣にタイトルの意味を考えてしまったが、日向坂46のメンバーのことは何一つとして知らない。”沖縄の青空の下でのプール撮影や、初のランジェリー撮影にも挑戦“とのことだ。

04位『世界一美味しい手抜きごはん』 はらぺこグリズリー

 はらぺこグリズリー著のレシピ集。2019年6月に9位だったので、4ヶ月ぶりのランキング入り。ランキングの水面下で売れていたのが、他に売れる本のない時期だったため、上がってきたのか。忙しい人が多い今、手抜きとか簡単とか素早く出来るというのが良いのだろう。

05位『ケーキの切れない非行少年たち』宮口幸治

 宮口幸治著の実用書。著者は児童精神科医。医療少年院での勤務経験もあるそうだ。9月のランキングで一番気になった書籍。作者は言う。”少年院には、認知力が弱く、「ケーキを等分に切る」ことすら出来ない非行少年が大勢いたが、問題の根深さは普通の学校でも同じなのだ。“。非行少年が非行少年たる所以は「人格の良し悪し」ではなく、「認知能力の有無」であり、社会生活を送るうえで必要な能力を持たず、その能力を手に入れようにも、頑張った先に何があるかを想像することが出来ないため努力もできず、「今したことは悪いことなんだ」と指摘されても反省することすらできない。認知能力を鍛えることで、善悪の判断がつくようにしよう、というような話のようだ。

06位『大家さんと僕 これから』矢部太郎

 矢部太郎作のコミックエッセイ。「大家さんと僕」の続編で完結編。作者の矢部太郎の本職はお笑い芸人。1作目は第22回手塚治虫文化賞短編賞を受賞している。大家さんと矢部太郎の交流を描いた作品。泣いて笑える作品らしい。

07位『天気の子 角川つばさ文庫』新海誠

 新海誠著の児童向け小説。角川文庫の「小説 天気の子」が大人向けなのに対し、挿絵つきで小・中学生向けに読みやすく編集した児童書版がこの角川つばさ文庫版。子供向けでないシーンは削除され、うまく編集されているらしい。

08位『もっと ざんねんないきもの事典』今泉忠明

 今泉忠明著の生物事典。7月にランキング入りしてからの常連。NHK教育テレビでショートアニメ化もされている「ざんねんないきもの事典」シリーズの最新刊。このシリーズは、これまでに「ざんねんないきもの事典」「続 ざんねんないきもの事典」「続続 ざんねんないきもの事典」と出版されていて、今回で4作目。
 子供向けだが、大人が読んで楽しめるし、大人が読んだ上で子供に読ませたいと思う作品だと思う。

09位『医者が考案した「長生きみそ汁」』小林弘幸

  小林弘幸著の実用書。そもそも味噌汁自体が塩分にさえ気を付ければ健康に良いものだが、特に健康に良いようにと考えた長生きみそ汁が紹介されている。レシピ集ではなく、その長生きみそ汁がどういう人に良いのか、どういった理由で良いのか、どういった効果が期待されるのか、どのように作ればよいのかについて書かれている。

10位『上級国民/下級国民』橘玲

 橘玲著の実用書。池袋にて起きた高齢者ドライバーによる母子死亡事故の際に再注目されることとなった上級国民というネットスラング。大企業の重役、政治家、官僚などなど、金と権力があって、あちこちにコネのある人をいう。いわゆる特権階級のことだが、元々上級国民と言う言葉がネットスラングとして流行ったのが、2020年の東京オリンピックエンブレムに関する騒動の時だった。
 2020年東京オリンピックのエンブレムを公募したところ、デザイナーの佐野研二郎によるエンブレム案が採用された。だが、このデザインは盗用ではないかとの指摘を受け、2015年9月1日に五輪組織委員会は記者会見を開き、このエンブレム案の採用を中止を発表した。その採用中止に至るまでの経緯を説明する中で、審査委員長永井一正の言葉として「一般の国民の方々」「一般国民」という単語が使用され、反感をかった。盗用ではないかと指摘した側を一般国民と呼ぶなら、自分たちは何なんだ、上級国民か、というわけだ。

 言葉の由来は兎も角、この本では “「上級/下級」の分断は、日本ばかりではない。アメリカのトランプ大統領選出、イギリスのブレグジット(EU離脱)、フランスの黄色ベスト(ジレジョーヌ)デモなど、欧米社会を揺るがす出来事はどれも「下級国民」による「上級国民」への抗議行動だ。“と指摘する。

最後に

げいむすきお
 児童向けの小説が一つ入っているだけで、一般向けの小説は0だった。10月はノーベル文学賞の発表がある。日本人が受賞すれば、さすがにランキング入りすることになるだろうが、果たしてどうなるか。

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